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むとう有子をとりまくうるさい人たちの声


No.10
良心が曇る前に

小木曽 仁夫
 この夏の終わりに大連(ターリエン)から瀋陽(シェンヤン)、長春(チャチユン)、哈爾浜(ハルビン)と中国東北部に行って来ました。ちょうど今年は柳条湖事件で日中戦争に突入して七〇年になります。歴史教科書で騒いだ一年、もう一度歴史を見直すのに良い機会と行ってまいりました。
 大連にゆく日本人はほとんどの人が旅順へいきます。私たちも二〇三高地や水師営会見所に行きましたが、忘れられないのは万忠墓です。日清戦争(中国では甲午戦争という)で日本軍によって村人が殺され、焼かれ、そのまま埋められた場所です。日清戦争でこのような虐殺があったことを初めて知ったのです。
 瀋陽では九・一八事変(柳条湖事件を中国ではこう呼ぶ)博物館がガイドブックよりさらに大きくなっていました。カレンダーのような建物はモニュメントとなり、その後方に大きな博物館が建てられていました。撫順(フーシュン)では平頂山惨案遺址へ行き、虐殺の生々しい跡を見てきました。哈爾浜では侵華日軍第七三一部隊遺址に行き、その広大なことに驚きました。世界遺産に申請するために準備しているとのことです。戦争はいけない。戦争は人を変えてしまう。決しておこしてはならないとの思いを深くした旅でした。
 中国から帰って大陸ぼけが直らない状態の時にアメリカで大きな事件が発生しました。同時多発テロです。ツインタワーに飛行機が吸い込まれるように追突する画像は衝撃的でした。それに対してアメリカは「これはもう戦争だ」と多くの良心ある人々の声を無視しました。そして空爆が始まったのです。 日本の政府は自衛隊をアメリカの戦争に協力できるようにすることしか考えていないようです。イスラム世界からアメリカと同じように見られてもよいのでしょうか。日本は過去に東アジアにたくさん迷惑をかけ、今またアフガニスタンにまで迷惑をかけるのでしょうか。もちろんテロは絶対に許されることではありません。だからといってテロに何をしてもよいことにはなりません。
 テレビで見る空爆のなかで多くの市民が被害を受けています。今すぐにでも解決へ。良心が曇る前に解決へと祈らずにはいられません。

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