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むとう有子をとりまくうるさい人たちの声


No.101
中野のまちよ どこへ行く!!
          建築設計事務所主宰 内田文雄

 もう30年以上も前のことです。警察大学校が移転することになり、区民の有志が集まって、「こんな中野に住みたいナ!」という提案づくりに取り組みました。敷地全体に、区民が自由に使える「中野の森」をつくろう!という計画です。

 駅と森が直結した、中野にしかできないまちをつくりたいと思う有志が、勤め帰りや学校帰りに私の事務所に集まって、みんなで絵を描き、模型をつくり、議会に陳情もしました。むとうさんとは、その活動が縁で知り合いました。まだ、区議会議員になられる前のことです。

 整備が終わった跡地に立つと、一部「中野四季の森公園」が実現していますが、高いビルに囲まれて光が足りません。跡地全体が豊かな森になっていたら、素晴らしい区民共有の財産になっていたのにと思うと残念でなりません。

 今、中野駅周辺が慌ただしく動いています。のんびりして、空が広かった南口駅前に高い建物が建ちました。よく利用した立喰いそば屋も飲み屋も消えました。北口は、もっとすごいことになりそうです。みんなに親しまれた中野サンプラザを壊して、高さ260mの巨大な建物をつくる事業が進んでいます。

 中野に限らず、今、東京で進んでいる開発事業計画の中には、まちづくりの主役である区民はいません。まちは誰のためにあるのか? 何のためにつくるのか? 最も大切な議論はどこかに消え、途中からは、事業を進めることが目的になって、住民に十分な説明がなされることなく進んでいます。

 私たちのまちは、誰のものでもない共有の場所(コモン)があることで、豊かな生活環境を維持してきました。しかし、私たちの自由な居場所は、気がつかないうちにまちからどんどん奪われています。

 都庁より高い、オフィスと住宅と、文化施設、商業施設などが複合したビルが本当に必要なのか? 大きな再開発事業の枠組みに組み込まれる前に、中野区は、中野の個性や、区民の声をどれだけ生かそうとしたでしょうか?

 むとうさんは、まちは誰のためにあるのか? 何が大事なのか? を、身体感覚で理解し、大切にしている人だと思います。中野のまちは、渋谷や新宿のようにならないほうがいい。もっと土に近く、空が広がっているまちづくりこそ、「未来の中野のまち」であると思います。

 むとうさんには、区民が置き去りにされない計画づくりの橋渡し役になってもらい、もう一度立ち止まって、中野のこれからをみんなで考えることができないかと思っています。

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