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むとう有子をとりまくうるさい人たちの声


No.52
   身の回りの貧困、不幸に眼を向けて

                            小林 惣太郎

 今、日本は、国が地盤沈下している。それは、東日本大震災による地殻変動だけではなく、この国に住んでいる多くの人々の思考が停止し、鈍化し、社会全体が衰退している気がしている。その中でも、この国を導かなければならない立場の人たちの鈍感さが透けて見える。政治家だけではないだろう。学者や行政、産業やマスコミなど、あらゆる分野の指導者たちに言えるのではないかと思っている。自然を無視し、昔から受け継がれてきた文化や生活様式を無視し、高速、高層、利便などが人類の発展と思う人たちが多すぎるのではないだろうか。その結果、いつも競争があり、緊張があり、環境破壊が起きている。
 私は若くないから、それ程の時間はないけれど、余生を一日、一日、大事に生き、今まで放置してきた、心にしまい込んでいた、大切なことに厳しく対峙し生きてみようと思っている。

 今回の地震は千年に一回の地震という人たちがいる。想定外が強調されている。地震での、死者と行方不明者の合計は約二万人である。確かに尋常ではない数である。しかし毎年、三万人以上の人たちが自殺していることは、今の社会では放置されている。その人たちの死は、無駄にしていいのか。それは、仕方のないことなのか。死んだ本人は覚悟のうえかもしれないが、そんなことはないだろう。親や子どもの突然の死に家族は嘆き悲しむ。生きている人ほど、自分の責任ではないかと苦悩する。その人たちにとって、これこそ「想定外の死」なのである。病死、事故死だけでなく、予想しない死も、日々、激増を続けている。

 東北救済、復興も大事だが、私たちの身の回りに歴然と存在する日常的な「貧困や不幸」に取り組む視点が欲しい。区政に必要なのは、その視点である。どうか、むとう有子さん、頑張って欲しい。



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