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むとう有子をとりまくうるさい人たちの声


No.59
   他山の石

                            増井 潤一郎

 図書館では4月、指定管理者が民間事業者に替わって、開館時間が延びて休館日が減り、サービスが向上したといいたいところだが、当時ぼくは図書館の現場は混乱していたと思う。予約した本がこれまでどおりに届かない、地下書庫から請求してもなかなか出てこない、スタッフは図書館システムの操作に習熟していない。これまで当たり前のようにこなしてきたNPO法人から、現在の民間業者への引き継ぎが不十分だったと言えるのではないか。

 近藤正二・元区議『二十世紀に生きた記録 私と中野区』によれば、「戦前の中野区には、図書館がなかった」。それが、多くの方の努力により中央図書館が開館し、8館構想が実現して、ネットワークが稼働されている現状は一大進歩だろう。しかし3館廃止案の浮上(当面は現状維持)、司書の非常勤職員の雇い止め、民間委託化へと「暗転」するわけだが。
 そこで、10年前に鈴木由美子さんが書いた記事の中での「営利企業への委託」事例は温故知新となる(「中野区民誰もが『図書館のある町』で暮らすために」『区立図書館を考える走り書き通信一号』2003・8・20)。「他区に先がけて図書館の窓口業務民間委託をした江東区で見たものは、委託料として区が一時問1600円余り払い、働き手に払われるのが800円台。区の税金が企業に吸い込まれるだけです。この給料では適性のある人を得にくいうえ、人の交替が激しく、新人が約束の研修もろくにされずに送り込まれるので、守秘義務もプライバシーも聞いたことのない人がカウンターに配置される状況。警察がカウンターに聞きにくれば館長に取り次ぎもせず窓口で利用者のことをしゃべり、個人情報を自分の利益に悪用するパートまで出るありさまに背筋が寒くなりました」。

 なるほどこの官製ワーキングプアの実態は、スタッフのみならず、区民にも重大な不利益を及ぼす他山の石ではないのか。さらに、2003年導入の古いシステムの更新も、予算がないとし