区議会報告 No.29

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主な陳情・請願の審査結果より

◎「区立みずのとう幼稚園,やよい幼稚園2園存続を願う」陳情 3/13

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 2園の廃止計画案が発表され,約2万筆の署名と共に廃止反対の要望が様々な形で届けられ,「新しい中野をつくる10か年計画」には廃止の文字はなくなりましたが「幼児総合施設へと民間活力を活用して転換」と明示されました。しかしその施設全容が提示されていません。今一度白紙に戻し,区民参加で区が目指すべき幼児教育・保育のあり方を検討すべきと考え,むとうは賛成しました。

(賛成討論全文)
 ただ今上程されました第137号陳情,区立みずのとう幼稚園,区立やよい幼稚園2園存続を願う要望について,以下第144号陳情から第154号陳情について,賛成の立場から討論いたします。
 2005年10月「新しい中野をつくる10か年計画改定素案」において「区立みずのとう,やよい幼稚園の2園を廃止し,幼保一元施設として民営化への転換を含め再配置します」と発表されました。園の名前が公表されたことで,みずのとう,やよい幼稚園の保護者の方々を中心に廃止反対の声が上がり,2万筆を超える署名とともに,教育委員会,区長,議会宛てに,廃止しないでほしいとの要望が様々な形で届けられました。
 幼保一元施設から幼児総合施設へと名称は変わりましたが,いずれもその施設で行われる幼児教育・保育の内容が明確に提示されていません。言わば,中身のない空の箱が置かれただけに過ぎません。中身のない空箱は誰もほしいとは思わないでしょう。区民が納得できないのは想像に難くありません。
 公約通り田中区長が区民参加で区政を変えることを実現するのであれば,中野区の幼稚園・保育園に通っていらっしゃるお子さんの保護者である区民と,園の関係者や専門家も交え,現状の幼児教育・保育を検証した上で,どのように改善し,何を目指すのか,時間をかけ丁寧に検討し,議論する場が必要でした。
 例えば,区民参加による幼児教育あり方懇談会,あるいは審議会を設置し,充分な検討を積み重ねることにより,現存する幼稚園,保育園の有り様についても,区民が納得できる結論を導き出せたはずです。しかし,そのような手続きを全くせずに,10か年計画には廃止の文字こそは無くなりましたが,「みずのとう,やよい幼稚園を幼児総合施設へと民間活力を活用して転換します」との結論は白紙に戻すべきと考えます。
 結論だけを区民に押しつける傲慢な手法が,田中流区民参加で区政を変えることなのでしょうか。今一度白紙に戻し,文字通り区民参加で,今後の中野区が目指す幼児教育・保育のあり方について,検討し,結論を導き出すという極く正当な区政運営を強く求め,簡単ではありますが,第137号陳情及び第144号陳情から第154号陳情についての賛成討論といたします。



◎「中野区国民保護協議会条例を制定しないこと」を求める陳情 3/24

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 「中野区国民保護協議会条例」が賛成多数で可決されたため,陳情は審議されることなく自動的にみなす不採択となってしまいました。04年に成立した国民保護法は,「保護」とは名ばかりで,住民の生活や権利を守らないばかりか,日本政府や米国の戦争遂行に住民を協力させ,自衛隊や米軍が軍事作戦をしやすくするための法律でしかありません。そもそも「弾道ミサイル攻撃」や「ゲリラ攻撃」「着上陸侵攻」を,現在の日本が受ける根拠や情勢がいったい何処にあるのでしょうか。現実的には突如としてそうした事態が発生するわけはなく,憲法を守り,国際紛争や対立を相互理解等平和的手段によって解決していく努力こそが政府の責務です。中野区は戦争に協力しない自治体づくりを最優先すべきです。私は国民保護法を憲法違反と認識していますので,国民保護計画を作成する必要はなく,計画を作成するための協議会も同様に不要と考え,「中野区国民保護協議会条例」にむとうは反対し,「条例を制定しないことを求める陳情」にむとうは賛成しました。

(賛成討論全文)
 ただ今上程されました「第18号議案中野区国民保護協議会条例」に反対の立場から,及び「第7号陳情中野区国民保護協議会条例を制定しないことについて」に賛成の立場から討論いたします。
 2004年6月,有事関連法の一つとして,武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律,いわゆる国民保護法が成立しました。しかしながらこの法律については,戦争に備えるためのものであり,憲法に抵触する法律であることを指摘する憲法学者が少なからずおられます。私は同様な認識を持ちつつ,討論することを前もって述べさせていただきます。憲法に違反する法律は全て効力がなく,それについて討論することの悲しさと,空しさを抱きつつも,敢えて意見を表明いたします。
 昨年3月には国民保護法に基づき,主に自治体の組織体制や「国民保護計画」を作成するための「東京都国民保護条例」が成立しました。そして本年には,市区町村単位の組織作りが本格化し,「保護計画」が作成されようとしています。しかし,国民保護協議会を自治体が設置しないことで,国が自治体に介入することはできません。国民保護協議会が設置されなければ国民保護計画も作る必要はありません。
 国民保護法は,「保護」とは名ばかりで,住民の生活や権利を守らないばかりか,日本政府やアメリカの戦争遂行に住民を協力させ,自衛隊や米軍が軍事作戦をしやすくするための法律でしかありません。私は,こうした法律や計画には反対であり,中野区がそのまま協力することを認めるわけにはまいりません。
 総務委員会で,みなす不採択となり,審議されなかったゆえに,陳情書に記載されている内容を踏まえ,区民の思いを引用しつつ,討論いたします。
 まず,国民保護法では,国や自衛隊は住民を保護することにはなっていません。「武力攻撃事態」や「緊急事態」が発生したと政府が認定した場合,住民の避難誘導は,政府の指示を受け,地元の自治体の指示の下で地域の自治会や消防団など自主防災組織が行うことになっています。警察は治安管理に当たり,自衛隊や在日米軍は「侵害排除」を中心とした軍事行動に専念することになっています。いったん指定施設・指定地域に避難した住民は,警察や自衛隊の許可なくしては自由に行動できず,事実上「拘束」された状態に置かれます。 しかし,地震や津波など本来自然災害を対象としている自治防災組織を,「自発的協力」とはいえ,戦争や「大規模テロ」など政治や人為的な原因による「人災」に動員することは本末転倒であり,住民に過大な負担と混乱をもたらします。
 国民保護法は,平時からの訓練と「国民の協力」を想定していますが,学校や公共施設など区民の日常生活の中に「避難訓練」という装いを持ちながら,自衛隊の関与や協力も得て,実態としては軍事的な性格をもった訓練が入り込んで来る可能性もあります。実際に,3月7日,千葉県は,福井県,鳥取県についで全国で3番目に「テロを想定した避難訓練」を行い,なんと小学生125名が動員されました。子どもたちの不安をあおり,訓練と称して,日常生活に軍事が入り込み,有事に組み込まれていくことが平和といえるでしょうか。国民保護協議会を設置し,計画が策定されれば,さらに,国民保護を実施するための組織の整備,計画に基づく訓練の実施が求められます。こうして否が応でも,自治体が市民を有事に備えて,戦争協力へと巻き込んでいく体制が作られてしまいます。
また,米軍や自衛隊が軍事行動を展開する際,物資の提供や交通・運輸・通信手段の優先的提供が各機関,民間会社に義務付けられ,拒否すれば罰せられることになっています。私たち住民の家屋や土地も作戦の都合上,後に弁償されるとはいえ,強制的に接収,撤去されることもあります。政治的判断で,「武力攻撃事態」と政府が認定すれば,私たちの自由は制限され,権利は剥奪されることになります。すなわちこの法律は,「武力攻撃の恐れがあった場合に国民を保護する」という名目の下で,実際には住民を政府の有事政策に協力させていくことを目的とし,加えて日本を軍事優先,戦争の論理がまかり通る社会に作り替えていく狙いを持っていると思わざるを得ません。これは,「憲法擁護・非核都市宣言」を掲げる中野区の基本政策と真っ向から対立します。
さらに,自治体の業務は「法定受託事務」とされ,国の指示に従わなくてならないとされています。もし拒めば,国が自治体の長に代わって執行することになります。これは明らかに地方自治の否定です。憲法92条には,「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定める」とあり,国の区長に対する指示や代執行は,自治権を侵害するものです。住民の生命・財産・自由・権利を守る義務を持つ自治体は,国の方針にただ無条件に従うことなく独自な判断,措置を取る権利があります。たとえ法定受託事務でも,住民の利益に反するとか住民の権利や生活を脅かすと考えられる政策に対しては,自治体の立場から反対していく,あるいは,実施を見合わせるといった様々な対応が可能です。現憲法の下では,地方自治体は政府の下部組織ではなく対等の関係のはずです。政府のなすがままでは地方自治の軽視や否定に繋がりかねません。
 一方,内閣官房が公表している「国民保護モデル計画」では,政府は本気で住民の生命や財産を守り保護しようと考えているのか疑わしくなります。
 例えば,「弾道ミサイル攻撃」に対しては「できるだけ近傍のコンクリート造りなど堅牢な施設や地下施設に避難する」とし,「ゲリラ・特殊部隊による攻撃」によって「化学剤」がまかれた場合には,「密封性の高い部屋や風上の高台に避難する」などの方法が示されています。どこか牧歌的で荒唐無稽な「計画」としか思えません。一体これが実際の「有事」に役に立つと政府は真剣に考えているのでしょうか。原子力発電所が引き起こしたスリーマイル島やチェルノブイリでの事故が,原発に対するテロ・ゲリラ攻撃の過去の事例として何の断りもなく示されている資料もあります。危険な原発は廃炉にするのが最善の方法のはずです。
 オウム事件のような無差別テロが発生する可能性を否定はしませんが,国民保護法によってそうした事件は防げるのでしょうか。「モデル計画」によっても被害から守れるとは到底考えられません。
 そもそも「弾道ミサイル攻撃」や「ゲリラ攻撃」「着上陸侵攻」を,現在の日本が受ける根拠や情勢がいったい何処にあるのでしょうか。この法律を審議した国会でも政府から具体的な例示はありませんでした。小説やドラマの世界ならいざ知らず,現実的には突如としてそうした事態が発生する訳はなく,憲法が謳っているように,国際紛争や対立を話し合いや相互理解など平和的手段によって解決していく努力が,今こそ政府に求められているはずです。
国家の任務は戦争を引き起こさない外交努力です。平和を推し進めることは,自治体にも市民にも求められています。イラクに大量破壊兵器がなかったにもかかわらず,米国はイラクを戦場にし,破壊しました。それに追随し自衛隊をイラクへ派兵した日本政府への危惧を,私は抱いています。これを鑑みれば,国民保護法は,米国の戦争に自治体や市民,公務員や輸送に関わる労働者,そして,自衛隊員など多くの日本人を動員するがゆえに,日本人の命を危険にさらす恐さを内包していると言えます。
 日本は,第2次世界大戦,広島,長崎の悲しみの連鎖を断ち切り,反戦の願いを憲法にこめて戦後を歩んできました。憲法9条を守り,住民保護を最優先する無防備地域,戦争に協力しない自治体を作ることこそ最優先とすべきです。そもそも国民保護法は憲法に違反してると認識していますので,国民保護計画を作成する必要はなく,計画を作成するための協議会も同様に必要ないと私は考えます。
 今一度,地方自治の本旨にたちかえり,平和そして市民の自由と安全が侵害されることのない自治体を希求し,「第18号議案中野区国民保護協議会条例」に反対し,「第7号陳情中野区国民保護協議会条例を制定しないことについて」に賛成する討論いたします。


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