区議会報告 No.30

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主な陳情・請願の審査結果より 7/13

「視覚障がい者のガイドヘルプ・日常生活用具給付事業の維持拡大を求める」陳情,「障がい者自立支援法に伴う,定率負担に対する軽減策・通所施設の食事等実費負担の助成を求める」陳情,「自立支援医療制度適用のための診断書を無償交付するよう国に意見書の提出を求める」陳情

採択となりました
むとうも賛成しました

 障がい者自立支援法が4月から施行されました。審議の段階から,この法は障がい者の自立を阻害するものだと懸念していたことが現実となり,例えば福祉作業所では利用者の施設利用料(月額約1万2千円)が工賃(月額約7千円)を上回るなど,障がい者や施設運営者に経済的負担が重くのしかかっています。不充分な法であるならば国へ改正を求めつつ,自治体としてそれを補う策を講じるべきと考え,むとうも賛成しました。



「統廃合後の沼袋小学校を第4杉の子作業所(沼袋3丁目)の移転先として利用できるよう配慮を求める」陳情

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 第4杉の子作業所は知的障がい者の通所授産施設です。狭く劣悪な環境の中で約20名が自立を目指して仕事をしています。廃校後の活用方法を検討していく中で,区民要望を配慮することは可能と考え,むとうは賛成しました。



「精神障がい者の医療費軽減策の実施を求める」陳情

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 近年精神病を患う方が増えています。苦しい生活を強いられ,原則一割負担ですが,満足な治療を受けられない方もいる中で,医療費の負担軽減策が必要と考え,むとうは賛成しました。



「アメリカ産牛肉の輸入再開をしないよう国に意見書の提出を求める」陳情

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 米国のBSE対策は,全頭調査,全頭からの特定危険部位の除去,肉骨粉や血粉の製造利用の禁止,追跡可能なトレーサビリティ制度の確立がない,ずさんなものです。安価なら何でもいいわけではなく,国民の命と健康を守るために,日本と同等の安全対策を米国に強く求めるべきと考え,むとうは賛成しました。

(賛成討論全文)
 ただ今上程されました第22号陳情,「アメリカ産牛肉の輸入再開をしないよう国に求めることについて」賛成の立場から討論いたします。
 2005年12月12日に日本政府は,アメリカ産牛肉の輸入再開を決めましたが,ずさんなアメリカのBSE対策によって2006年1月20日,特定危険部位の混入が発見され,輸入を再停止するという大失態を演じました。その後の日米政府協議においても,アメリカ側から,日本への輸出プログラムの遵守をするとの見通しが語られるばかりで,日本政府は,アメリカのBSE対策の抜本的改革を訴える毅然とした態度を取ることはありませんでした。
 2005年12月の輸入再開直後に,日本政府はアメリカで行った牛肉輸出認定施設の査察報告書が2006年4月27日に公表されました。しかし,公表された報告書は重要箇所が全て墨塗りでした。問題の墨塗り箇所は各施設での作業工程の詳細,検査官や獣医官の人数,BSE検査の結果,管理プログラムの内容などについてで,まさに日本の消費者にとってアメリカ産牛肉の安全性を確かめる上で,必要欠くべからざる情報でした。
 日本政府は,墨塗りの理由を企業秘密としていますが,これはとりもなおさず,日本の消費者よりアメリカの食肉企業の利益を優先したということに他なりません。
 この査察の約1か月後,背骨が付いたままの牛肉が見つかり,輸入は再停止になりました。さらにそれ以降も査察を行なった工場から違反事例が次々に見つかり,結局は「査察」に名を借りた「見学」に過ぎなかったとのそしりを免れません。
 NHKによる6月の世論調査では84%の人が「アメリカ産牛肉の輸入に反対」「輸入再開を急ぐべきではない」と回答しています。こうした多くの消費者の輸入反対の声を無視して,アメリカ政府の言いなりになり,2006年6月21日,日本政府は,輸入再々開を決定しました。
 アメリカのBSE対策は,全頭検査,全頭からの特定危険部位の除去,肉骨粉や血粉の製造利用の禁止,追跡可能なトレーサビリティー制度の確立がない,ずさんなものと私は考えます。
 世界各国へのBSEや変異型クロイツ・フェルトヤコブ病の被害拡大を防ぐためにも,アメリカ産牛肉の輸入再開に私は反対します。
 国民の命と健康を守るために,日本と同等の安全対策の実施を日本政府は,アメリカに強く求めるべきであると考え,第22号陳情,「アメリカ産牛肉の輸入再開をしないよう国に求めることについて」に賛成の討論といたします。



「廃プラスチックを焼却処理しないことを求める」陳情

どうして不採択なの?
むとうは賛成しました

 08年度から23区全域でこれまでの分別収集を止めてプラスチックを可燃ごみとして燃やすことになり,今年度4区でモデル収集を実施し,清掃工場で焼却実験が行われています。プラスチックは燃やしても埋めても危険です。安易な焼却に走らず,まずは中野区同様に23区全体で容器包装リサイクル法に基づくプラスチックの資源化に着手すべきと考え,むとうは賛成しました。

(賛成討論全文)
 ただ今上程されました第11号陳情,「廃プラスチックの焼却による熱回収及びモデル事業について」及び,第132号陳情「廃プラスチックの処理について」賛成の立場から討論いたします。
 2005年第4回定例会,そして,今第2回定例会一般質問,そして区民委員会でも再三プラスチック焼却の危険性並びに問題点を指摘してまいりましたが,区長始め,議員の方々にもご理解いただけず,大変残念に思っています。
 そもそも,23区は埋立処分場延命を理由に,家庭ゴミのプラスチックを熱エネルギーに回収するサーマルリサイクル名の下に,清掃工場で焼却処理をしようとしています。しかし,埋立処分量全体に占めるプラスチックの割合はわずか12%に過ぎず,焼却したとしても,処分場延命の切り札にはなりません。また,サーマルリサイクルつまり熱回収を免罪符にしてプラスチックを焼却しても,熱回収率は平均で10%足らずで,とうていサーマルリサイクルとは言えません。サーマルリサイクルとはドイツのように75%以上の場合に選択する方法です。さらにプラスチックの焼却はダイオキシン類など有害化学物質の生成や,日本では排出ガス規制値のない水銀・ヒ素・アスベスト・PCB等の排出の危険性など環境汚染や人体への悪影響を及ぼします。近年増え続けている100円ショップなどで大量に販売されているプラスチック商品は,ほとんどが輸入品であり,添加物や可塑剤の規制が全くなく,いかなる有害物質が含まれているのか知るすべもなく,それらを焼却することは危険極まりないとの認識を持つべきです。以上の問題点を踏まえ,プラスチックの焼却はすべきではないと考えます。
 しかし,大変残念なことに,2008年度から23区全域で,これまでの分別収集を止めて,プラスチックを可燃ごみとして燃やしてしまう混合収集に大転換することになってしまいました。それに向け,今年度,足立,杉並,品川,大田の4区でモデル収集を実施し,清掃工場で焼却実験が行われています。
 モデル収集をする4区の内,杉並区は中野区同様プラスチック製容器包装回収の全区展開を目指しているようですが,品川区,大田区はペットボトルと白色トレーのみ,足立区はペットボトルのみのリサイクル回収のようです。
 2005年10月14日の特別区助役会「廃プラスチックのサーマルリサイクル実施の検討」結果によれば,23区各区が容器包装リサイクル法に基づいて,リサイクルを徹底し,それでも残った廃プラスチック類に関しては熱回収を行うはずだったのではないでしょうか。リサイクルの徹底がなされない中でのモデル事業開始は,検討結果を反故にするものです。
 なお,5月23日の衆議院環境委員会でもこのことが取り上げられ,環境省は「廃プラスチックの中でも容器包装廃棄物は再商品化を促進し,分別収集が望ましい」と答えています。中野区はプラスチック製容器包装回収の全区展開を推進しますが,他の多くの区では実施計画すらありません。廃プラスチックのリサイクルの徹底をしていない現状の中で,プラスチックを焼却することは約束違反です。このプラスチック焼却とセットで,ごみ焼却により生じた電力の小売りを行なう営利企業である新会社設立の準備が着々と進められています。売電を事業とする新会社を設立させるということは,とりもなおさず,ごみを燃やし続けて発電することであり,ごみが増えれば利益が上がるシステムを作り上げることです。だからこそ,分別でごみ減量が進むと発電量が減ってしまうので,廃プラスチックを可燃ごみとして焼却する必要があったのです。これはごみ減量への取り組みを根底から覆すものであり,環境汚染に拍車をかけ,区民の命と健康を脅かすものです。
 近年,リサイクルの取り組みも進み,可燃ごみ量が大幅に減少し,焼却能力は過剰となり,そのカモフラージュとして定期点検の期間延長等をしながら,現存の清掃工場の運転をしているようです。よって,増え続ける廃プラスチックを可燃ごみとして燃やしたいという清掃一部事務組合の思惑と,リサイクル費用がかさむので焼却したいという区長の思惑と,拡大生産者責任から免れたいというメーカーとの思惑が「サーマルリサイクル」というキーワードに見事に合致し,区民が望む環境保全,資源の有効活用,ごみゼロからどんどん乖離していく構造が見えてきているのは,私だけではないはずです。
 廃プラスチックは資源化し,埋めるごみを減らし,焼却ごみも減らし,焼却工場を閉鎖していく道を探ることを強く求め,第11号陳情,及び第132号陳情に賛成の討論といたします。



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