区議会報告 No.31

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可決された主な議案より

中野区幼稚園条例の一部を改正する条例 10/20

むとうは反対しました

 区立幼稚園と私立幼稚園の公私格差是正を理由に,区立幼稚園の保育料を3年で4万1400円値上げするものです(修正案が可決され,4年となりました)。  少子化,核家族化,経済格差が進む中で若い人たちが安心して子どもを産み育てる環境整備が急務です。  子どもたちが幼児教育を受ける機会が奪われぬよう,江戸川区のように区立幼稚園の保育料を安価に抑え,私立幼稚園の保護者補助金を引き上げるべきと考え,むとうは反対しました。

中野区江戸川区
区立幼稚園保育料(年額)
現在    94,800円
2007年度 100,800円
2008年度 106,800円
2009年度 118,800円
2010年度 136,200円
現在 36,000円
★値上げ予定なし
私立幼稚園保護者補助金(年額)
現在    114,000円 現在 312,000円


(反対討論全文)
 ただ今上程されました第93号議案「中野区立幼稚園条例の一部を改正する条例」及び「第93号議案に対する修正案」に反対の立場から討論いたします。
 原案,修正案いずれも,区立幼稚園の保育料額,94,800円を136,200円に,3年あるいは4年かけて41,400円値上げをするものです。
 少子化,核家族化,経済格差が進む中で,中野区の出生率は全国平均を下回る0.75%であり,若い人たちが安心して子どもを産み育てる環境整備が急務です。少子化対策とアナウンスするばかりではなく,中身の伴った区の姿勢が問われています。
 先頃,区立みずのとう幼稚園の在園児保護者と修了児保護者,そして地域住民の方々に,来年度から保育料が段階的に引き上げられること,民設民営の幼児総合施設になることなどについて,みずのとう父母の会がアンケート調査を行ない,結果をまとめられたそうです。その結果によれば,これまで30年間,保育料の公私格差があったにも関わらず,廃園する段階になって,にわかに公私格差是正と言われても,値上げ理由の説得力がない。そもそも区立と私立では保育時間や保育内容が異なっており,保育料の違いがあっても当然ではないか。1万円を越える値上げは負担感が大きく,幼稚園に通えなくなる子も増えるのではと心配する,など値上げに納得できないとの声が多かったと,伺っています。
 23区で区立幼稚園保育料が最も安く,なおかつ私立幼稚園保護者補助金額が最も高い江戸川区にお話しを伺いました。保育料は月額3,000円で,1980年から値上げされておらず,当面値上げの予定はないとのことです。また,保護者補助金は月額26,000円です。
江戸川区の人口は約64万人,一般会計予算約1,800億円,私立幼稚園39園,児童数約12,000人。区立幼稚園6園,児童数約800人と,人口及び予算規模は中野区の約2倍,私立幼稚園児童数は約4倍,区立幼稚園児童数は約2.3倍です。子ども人口が中野区より圧倒的に多いと言えます。
 江戸川区幼児教育方針の冒頭には,以下のように記されています。「全国的に少子化と言われていますが,江戸川区では毎年7,000名の新たな命が誕生しています。いつの時代でも,子どもは社会全体の宝であり,希望と言えます。区は,未来を担う子どもたちが夢を持ち,人間性豊かに育っていけるよう江戸川の長期計画基本構想の中で『未来を担う人づくり』を基本的施策にしており,子育て支援に取り組んでいます」とあり,未来を担う人づくりにしっかりお金をかけている様子が伺われます。
 江戸川区の私立幼稚園保護者補助金約41億円を含む,私立幼稚園関係総額は約48億5千万円で総予算の2.6%を占めています。江戸川区が子育て支援に取り組む姿勢が表れている数字です。
 一方中野区の私立幼稚園等補助金総額は約4億8千万円で,総予算のわずか0.5%にとどまっています。単純な数字の比較ではわからないそれぞれの区の教育行政の歩みや,背景の違いはあろうかとは思いますが,この違いには少なからず驚きます。
 教育基本法第3条にあるように,すべて国民は,ひとしく,その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであり,また経済的地位によって教育上差別されないことになっています。そして,義務教育ではないものの,幼児教育の重要性,必要性は誰もが認めています。保育料金が支払えないがゆえに,幼児教育を受ける機会が奪われぬよう,公的区立幼稚園の保育料を安価に抑え,私立幼稚園の保護者補助金を引き上げ,公私格差を是正するという江戸川区の考え方を見習うべきではないでしょうか。若い人たちが苦しい生活の中で,子どもを産み育てている現状を直視すれば,中野区の,この度の区立幼稚園の保育料値上げは,少子化対策に逆行するものであると言わざるを得ません。また,変動する経済状況の中で3年後,4年後の区民の生活状況を予測することは難しく,現時点で3年後,4年後の保育料を決定することにも違和感を覚えます。
 以上,簡単ではありますが,第93号議案「中野区立幼稚園条例の一部を改正する条例」及び「第93号議案に対する修正案」に対する反対討論といたします。

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