区議会報告 No.42

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 淡いピンク色の桜の花が散り、新緑の若葉が芽吹き、香りと共に春本番のさわやかな風がそよいでいます。
 世の不条理に憤慨していることの多い私には、心はしゃぐ出来事などあまりありませんが、春風の中で、人の優しさにふれ、心穏やかな時を感じることができます。
 また、春は新しい道へと踏み出す季節です。迷いながら踏み出す道もあれば、迷わず進む道もあり、踏み出せない道もあります。しかし、人は命のある限り、「時」という道を歩んでいかなければなりません。
 先日、「風の古道」(恒川光太郎著、角川ホラー文庫)を読み、記憶の底に眠る異界に連れて行かれました。
 古道とは、古来、人里と隣接して存在しながら普通の人間の眼には見えず、神やもののけの類が往還する道です。永遠に続くと思われるその道に、時おりやってくる分かれ道。片方を選べばもう片方には戻れない。私たちの心の隙間とも思えるその道は、誰もが持つ期待と不安、懐かしさでできています。私はどこから来て、いったいどこへ向かうのか。その探求心を鼓動させる「風の古道」に、春風と一緒に迷い込んではいかがでしょうか。
 日々、人それぞれの歩みにふれ、我が道を問う毎日です。

むとう有子

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