区議会報告 No.53

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主な陳情・請願の審査結果より 12/14

            採択となりました
               むとうも賛成しました

◎「飲食物の放射能『暫定基準値』見直しを求める意見書を国に提出することを求める陳情」が全会一致で採択となりました。

 福島原発事故により放射能汚染の広がりが深刻化している中、事故直後に定めた世界的基準より高い「暫定基準値」の見直しが進んでいません。放射能の影響が大きい妊婦さんや子どもへの配慮が急務です。毎日、摂取する食品や水などによる内部被曝の影響をできる限り減らすために、より安全な基準値の早急な策定が必要と考え、むとうも賛成しました。

            どうして不採択なの?
               むとうは賛成しました

◎「給食牛乳にパス乳(低温殺菌乳)の使用を求める陳情」が賛成少数で不採択となりました。

 1991年、学校給食にパス乳の使用を求める請願を全会一致で議会が採択しましたが、未だに使用されていません。あらためてその実現と、さらに学校給食だけではなく保育園給食への使用を求めるものです。パス乳とは、低温で時間をかけて熱処理をするので栄養素が壊れず栄養価が高く、アレルギーの要素が少ない低温殺菌乳です。農水省がパス乳のシェアを拡大するために4円の補助金を出していることもあり、使用すべきと考え、むとうは賛成しました。

      賛成討論全文
 只今上程されました第9号陳情「給食牛乳にパス乳を使用して頂くことについての陳情」に賛成の立場から、討論いたします。
 ご存じの事とは思いますが、パス乳とは、62度〜65度で30分、または72度〜75度で15秒と、低温で時間をかけて熱処理される牛乳のことです。日本では未だに効率が優先され、120度〜130度で2秒間熱処理された超高温滅菌乳が90%のシェアを占めていますが、最近は牛乳の持っている栄養素が壊れない低温殺菌乳の良さを理解する人が増え、スーパーなどでも普通に売られるようになりました。
 さて、中野区で低温殺菌牛乳の使用が検討課題になったきっかけは、今から21年前、1990年3月9日の教育委員会で、教育委員さんからの低温殺菌乳を中野の学校給食に使用してはどうか、との提案でした。教育委員会はその提案を受け、みんなの牛乳勉強会の小寺さんと女子栄養大学の古賀教授を招いて勉強会を実施しました。その後、みんなの牛乳勉強会と神明小学校有志からも要望書が提出され、議会よりも先行し教育委員会の中で、検討を進めていました。翌1991年3月に「中野区の学校給食にパス乳を使用して頂く事について」という請願が区議会に提出され、2日間の審査を経て、3月15日に全会一致で採択されました。しかし、採択されたにもかかわらず、20年間放置されていました。そこで、本陳情は、あらためてその実現と、さらに学校給食だけではなく保育園の給食への使用を求めるものです。1991年3月の議事録を読み返してみました。休憩中の請願提出者からの趣旨説明や質疑になんと1時間32分もの時間をかけており、当時の熱心さがうかがえます。議員の質疑に対して教育長は「パス乳低温殺菌乳及びUHT超高温滅菌乳について十分に勉強したつもりである。十分に勉強した上での結論としてパス乳低温殺菌乳の方が優れているという感じは分かった。」と答弁されています。しかし、東京都知事の選定を受けた供給業者の牛乳には国からの補助金が1本あたり3円10銭出ており、市販の牛乳には補助金が出ない事が課題となっていました。導入方法に苦慮されている様子も読み取れました。その後、なぜ、20年間放置されたのかは、今となってはわかりませんが、補助金がネックとなったと推測できます。当時の教育委員会も議員も十分勉強され、パス乳低温殺菌乳の方が優れていると判断し、使用しようとされたも関わらず、実現できなかったことは返す返すも残念でなりません。
 また、ネックとなりました補助金額も年々下がり、今や、1本1円にも満たない30銭です。なお、今年度から農水省は、低温殺菌乳のシェアを拡大するための新規事業で、学校給食に低温殺菌乳を導入した場合1本当たり4円の補助金を出しています。この補助金を申請し今年度から低温殺菌乳を使用している自治体数は14、学校数は171校、牛乳数は942万8905本だそうです。農水省に確認したところ、次年度も継続するそうです。低温殺菌乳を製造している乳業メーカーは20年前と比べ格段に増え、安定供給されています。今後ますます、良質なパス乳を導入する自治体が増えると予想されます。ネックとなっていた補助金問題は、ほぼ解決しました。  さて、福島原発事故により3月11日以降、牛乳を含め給食食材における放射能汚染が大きな問題となっています。暫定基準値の見直しも進まず、牛乳の暫定基準値はヨウ素が300ベクレル、セシウムが200ベクレルと大変甘い基準です。今のところこの基準をクリアすれば、市場に出回ります。中野区が学校給食に使用している協同乳業に確認したところ、「製品となった牛乳の放射性物質検査はしていない、原乳段階での農水省のデータを確認している」、とのことでした。中野区が使用している牛乳の原乳は千葉県、岩手県、秋田県、北海道のミックスだそうです。直近の数値は、千葉県はセシウム1.79、岩手県は18.1、秋田県は1.44、北海道は0.114ベクレルです。これらの原乳がどのようにミックスされ、製品化された時点で放射性物質の値がどのようになっているのか大変気がかりです。東京都内の小・中学校に牛乳を納入する牛乳メーカー6社でつくる「東京学乳協議会」は、各自治体や、東京都教育委員からの再三に渡る検査結果の数値開示要求に応じず、未だに公表していません。よって、各自治体の独自検査結果による断片的な数字しかなく、保護者の不安は増すばかりです。そんな中、中野区での使用を審議している東毛酪農の低温殺菌乳から、武蔵野市でセシウムが7ベクレル検出されたことが、子ども文教委員会における陳情審議に大きな影響を及ぼしたのではないかと推測します。しかし、同じ東毛酪農の低温殺菌乳を日常的に使用している国立市の11月21日の検査結果では、セシウムは2ベクレルでした。その一方、世田谷区の独自検査により、世田谷区が使用している明治乳業の超高温滅菌乳から12月5日、セシウムが6.3ベクレル、また、千代田区の保育園で使用している同じく明治乳業の超高温滅菌乳から11月18日、セシウムが17.9ベクレル検出されました。このように今の日本においてこのレベルは低温殺菌、超高温滅菌にかかわらず、時として残念ながら放射性物質を含んでしまう可能性が高いと言えます。新聞記事によれば、武蔵野市がセシウム7ベクレルを検出した低温殺菌乳の提供を中止したことについて、データ公表を拒む東京学乳協議会は「7という数値が一人歩きし、公表した数値がこれに近ければ給食の牛乳全般が納入禁止となりかねない」との懸念を語られたようです。昨日、東京学乳協議会に電話で確認しましたが、この記事のコメントは真実でした。このコメントは、牛乳全般で7ベクレルに近い数値が検出される可能性があることを示唆しているように思えます。このように牛乳の放射能汚染については、常に検査し、注意を払っていかなければならない問題です。
 本陳情の審査に当たってはパス乳低温殺菌乳の栄養価についてしっかり評価すべきではないでしょうか。
 かつての教育長が「十分に勉強した上での結論としてパス乳低温殺菌乳の方が優れている」としたパス乳の導入を、今こそ実現すべきと考えます。
 多くの議員の皆様のご賛同が得られることを願い、第9号陳情「給食牛乳にパス乳を使用して頂くことについての陳情」に対する、賛成討論といたします。



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