区議会報告 No.62

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2014年度 一般会計予算 3/12

 むとうは反対しました

 前年度と比べ約36億5千万円もの増額予算です。障がい児通所施設や特別支援学級の開設、新たに小型家電や蛍光管の資源化等の予算化は評価しますが、ライフサイクルコストを考えないさらなるスポーツ施設整備や、区民に不利益となる恐れのある、介護保険や後期高齢者医療窓口等の民間委託化等は承服できず、むとうは反対しました。
   なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

  2014年度予算
一般会計 1,206億8,700万円
国民健康保険会計 337億0,100万円
後期高齢者医療会計 64億5,100万円
介護保険会計 210億6,500万円

 予算反対討論 全文

 ただ今上程されました第6号議案2014年度中野区一般会計予算に、反対の立場から討論いたします。

 一般会計予算は1206億8700万円で、前年度と比べ36億4600万円もの増額です。その財源となる特別区税と特別区交付金を合わせて約33億円の増額を見込んでいます。見込み違いにならなければ良いのですが、不安がよぎります。また、次年度発行する特別区債は、一般会計と用地特別会計を合わせて144億6300万円となり、前年度比120.2%増と激増していることも不安材料です。未来に借金を残さない区政運営をしていただきたいものです。

 さて、経営費の中に、基本構想及び新しい中野をつくる10か年計画(第2次)の改定のために約300万円が予算化されています。10か年計画は2010年3月に改定され、目標の達成度を検証しながら概ね5年後に必要に応じて改定するとの事でしたので、今年度が改定の検討時期であると理解しますが、10か年計画と連動して基本構想までも5年ごとに改定するあり方に以前から違和感を持っています。そもそも自治体における基本構想とはどのように位置づけられていたのでしょうか。改正前の地方自治法によると「市区町村は、議会の議決を経て、その地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定めなければならない」とありました。自治体においては、日本国憲法の前文にあたるようなものと考えられ、区が目指す理想のまちの姿を理念的、普遍的に描くものです。よって基本構想は自治体計画の最上位計画と位置づけられ、基本構想のもとに基本計画があり、そのもとに実施計画という三層で捉えられるのが通例でした。中野区では、基本構想のもとに基本計画にあたる10か年計画がありますが、そのもとに実施計画にあたる計画が無く、各事業部に委ねられているようです。5年ごとの10か年計画に連動して改定しなければならないような基本構想は、すでに基本構想とは言えない代物になっているのではないでしょうか。中野区では1981年1月に初めて基本構想を制定し、24年後、田中区長のもとで2005年3月に新たな基本構想と新しい中野をつくる10か年計画が制定されました。そのわずか5年後の2010年2月に基本構想が、3月に10か年計画(第2次)がセットで改定されました。そしてまた5年が経過して、基本構想と10か年計画がセットで改定されようとしています。もはや基本構想の本質を大きく逸脱しているとしか言いようのない区政運営です。

 区が目指す理想のまちの姿が5年ごとに変わるようでは、目標が定められません。今一度、基本構想の本質的意義と位置づけを考えるべきです。付け加えて言えば、2011年8月1日に施行された地方自治法の一部を改正する法律により、基本構想の策定を義務付けていた規定が廃止されました。この法改正は、地域主権改革における国から地方への「義務づけ・枠付けの見直し」の一環として行われたものです。したがって、当然のことながら市区町村において基本構想がその役割を終えたということではありません。蛇足ですが、検討期間は区長選挙後の6月から来年12月までの1年半となっています。

 次に、都市政策推進費の中で、一向に成果の見えない産業振興策として、産業振興センターの新規開設に約6369万円や、ライフサポートビジネス創出促進に約1536万円が予算化されています。田中区政のもとで産業振興に税金を投入し続けていますが、果たして区内産業の振興に役立っているのでしょうか。どれもこれも思い付きのような施策を次々打ち出していますが、成果が見えず迷走し続けているように見えます。
 また、地域支えあい推進費の中で、東中野小跡地に建設する東中野区民活動センター等整備の基本計画策定に816万円が予算化されていますが、東中野小跡地の約3分の2を売却してのセンター建設と公園新設に、地元住民の賛同は得られていません。区政は区民みんなのものであることを区長が認識しているのであれば、抜本的に再検討するべきです。

 次に、南部すこやか福祉センター等整備に約5億9924万円が予算化せれています。この中には地域スポーツ施設が含まれていますが、2010年7月に中部すこやか福祉センターに併設した地域スポーツクラブが未だに本格稼働できない状況下で、さらに近隣に民間スポーツ施設があることも踏まえれば、ライフサイクルコストを考慮し、新たなスポーツ施設整備は再考するべきです。
 さらに、区民サービス管理費の中で、介護保険窓口等業務委託に約3795万円が、後期高齢者医療窓口業務委託に約3733万円が予算化されています。介護保険と後期高齢者医療の制度案内、届出や各種申請の受付窓口を一括委託するものです。将来的に高齢者窓口のワンストップ化を目指すのは良いことですが、制度が複雑で頻繁に変化する中で、民間が制度を熟知しきれるとは考えにくく、制度利用の入口である窓口の委託化は区民に不利益となる恐れがあり、疑問が残ります。

 総じて人件費削減に目を奪われ、職員数を減らした分、次年度は学童クラブ運営、窓口業務、学校用務業務等の民間委託、福祉作業所への指定管理者制度の導入などが予算化されており、他の要因もありますが、物件費が前年度比較で約14億895万円、9.4%の増となっています。
 民間の専門性を活用することは良い点もありますが、民間委託が進むと官製ワーキングプアを生み出し、現場経験を持たない職員は委託事業の点検、管理、評価をする能力を身に着けることができず、長い目で見ると区民サービスの低下を招くのではないかと考えます。民間にゆだねて良い業務と、公務員がやるべき業務の見極めが重要です。職員数削減、人件費削減に目を奪われ、公的責任を果たさず、民間活力の利用という大義名分でやみ雲な委託化や指定管理者制度の導入には反対です。

 なお、総括で質疑しましたが、日本非核宣言自治体協議会を脱会することは、平和事業の後退であり、認められません。
 障がい児通所施設や特別支援学級の開設、小型家電や蛍光管など新たな品目の資源化などの予算化は評価できますが、ライフサイクルコストを考えているとは思えない施設建設、さらに言えば、区長の任期が終わり、選挙が6月に実施されることを全く考慮せず、いや、ある部分では十分考慮し、続投を確信しているような傲慢さが感じられる予算には、賛成できません。以上雑駁ですが、第6号議案2014年度中野区一般会計予算に対する反対討論といたします。

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