区議会報告 No.65

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主な陳情・請願の審査結果より 12/ 5

◎「川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し廃炉とし、原発ゼロ政策への転換に向けた意見書の提出を求める陳情」

不採択となりました
むとうは賛成しました
 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、3年8か月を経過した今も大量の汚染水が日々漏れ出し続けています。事故の原因究明も収束の見通しも立たない現状下で再稼働させてはなりません。  中野区にも270人もの方が福島から避難されています。原発事故による放射能汚染が、そこに暮らす人々の生活基盤を根こそぎ奪ったことを忘れてはなりません。また、原発推進政策は、核兵器の保有能力の確保を見据えたものであることも忘れてはいけません。  地震、火山の活発期に入った日本で原発を再稼働する道は、第2の福島原発事故を招き、日本を滅亡へと導く道です。今こそ原発ゼロ政策への転換を進めるべきと考え、むとうは賛成しました。


        賛成討論全文

 ただ今上程されました第14号陳情「川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し廃炉とし、原発ゼロ政策への転換に向けた意見書の提出について」に賛成の立場から討論いたします。

 2011年3月11日に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故は、国際原子力事象評価尺度において最悪のレベル7に分類された深刻な事故でした。3年8か月を経過した今も収束せず、進行中であり、破壊され崩れ落ちた核燃料の姿すら見ることも出来ない状況です。現在も大量の汚染水が日々漏れ出し続け、それを止める有効な手段さえ見つかっていません。オリンピックを東京に誘致した際に、安倍総理が「福島原発の状況はコントロールされています。汚染水は、港湾内に安全にブロックされています。」と全世界に向けて発言された言葉の信ぴょう性について誰もが、耳を疑いました。『放射性セシウム「不検出」実際は汚染』との記事が、今朝の東京新聞の一面で大きく取り上げられていました。
 また、今後も20mを超える巨大津波に襲われる可能性を否定できず、その際には原発の地下にある何万トンもの放射能の固まりが海に流れ出し、これが第二の福島原発災害を引き起こす危険性が指摘されています。原発災害を繰り返さないための方法論さえ確立していません。原発の稼働どころか、事故の原因究明も収束の見通しも立たない現実の前に、何を持って再稼働が出来る根拠となるのか、国の方針にあきれるばかりです。

 私は去年の夏は高線量の浪江町に、今年の夏は、地震、津波、放射能の3重被害を受けて廃墟と化した帰宅困難地域である富岡町に行ってまいりました。そこは、物音一つせず、時間が止まっています。未だに12万人が避難生活を強いられ、ここ中野区にも270人もの方が福島から避難されています。福島原発事故による放射能汚染が、そこに暮らす人々の生活基盤を根こそぎうばったことを忘れてはなりません。
 原発を推進するための前提であった「原発の安全神話」も、「原発は安上がり」も、偽りであったことを事故の現実が証明しました。そして、「原発がなければ電力不足になる」と国民をおどかしていましたが、この夏も原発ゼロで停電には至らず、その論拠も失っています。
 原発の推進は、総括原価方式による電気料金と税金に依拠した原発マネーに群がる電力会社、原子炉メーカー、官僚、御用学者、政治家など原子力ムラの住人が利益を得るためであったことに、多くの国民が気付いています。また、原発推進政策は、核兵器の開発・保有能力の確保を見据えたものであることも忘れてはいけません。東京電力と国は、汚染被害を少なく見せることには熱心ですが、誰も事故の責任を取っていません。

 原子力規制委員会が、九州電力川内原発を新規制基準に適合したとした7月16日直後に、朝日新聞社が実施した全国世論調査では、川内原発の運転再開について賛成は23%、反対は59%と、反対が大きく上回りました。
 原子力規制委員会が決定した川内原発再稼動に向けた「審査書」は、地震対策も火山噴火対策も複合災害対策もプラント評価も、実効性ある避難計画も不十分で、周辺住民の同意も得られていません。

 10月28日に薩摩川内市議会及び岩切市長、11月7日に鹿児島県議会及び伊藤県知事が川内原発の再稼働に同意しましたが、少なくとも「地域防災計画(原子力災害対策編)」を策定する必要がある、原発から30km圏内に存在する全ての自治体の同意を求めるべきです。 川内原発の30キロ圏内には21万人以上の住民が暮らしていますが、21万人を対象とする実効性のある避難計画は策定不可能です。わずかに指定されている「避難所」「避難路」すら、地震や津波があれば寸断されることが明白です。実効性の無い避難計画のもとで原発事故が起これば、住民の被曝は避けられません。要援護者に至っては、「避難させない」とし、要援護者と施設従業員や管理者を残したまま「逃げる」という「原子力防災計画」を認めるわけにはいきません。

 また、九州電力は巨大噴火の予測が可能であることを前提に、巨大噴火の発生を予測してから対応して問題ない旨を説明していますが、日本火山学会は11月3日、現在の科学の知見では巨大噴火の発生予知は困難であるとして、原子力規制委員会の火山影響評価ガイドの見直しを提言しました。しかし、日本における火山についての最高権威である日本火山学会のその提言を無視して、原子力規制委員会も鹿児島県もそれを容認してしまいました。

 「巨大噴火が起きる前には、何十年も前に前兆現象が起き、それを感知すれば原子炉を停止して核燃料を運び出すことが出来る」とする前提で原発を再稼働することが、如何に自然災害を軽視する行為であるか、さらに、火山灰が降り注げば、電気設備で安全を維持している原発が、どれだけ危険にさらされるかを、火山のふもとに暮らす人たちは知っているはずです。

 川内原発の再稼働は、単に1つの原発を動かすことでは終わらず、今後、関西電力高浜原発などの再稼働に確実につながっていきます。福島第一原発事故のあと、3年8ヵ月余、「実質原発なし」でやってきた日本を再び「原発大国」に戻してよいのでしょうか。
 地震、津波、火山の活発期に入った日本で原発を再稼働する道は、第2の福島原発事故を招き、日本を滅亡へと導く道です。「この道しかない」と決めつける前に、再生可能なエネルギーへの道筋へ転換を図るべきです。

 以上の理由から、第14号陳情「川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し廃炉とし、原発ゼロ政策への転換に向けた意見書の提出について」に対する賛成討論といたします。

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