辺野古新基地建設工事において沖縄の民意を尊重して
最大限の配慮をするよう意見書提出を求める陳情
賛成討論 全文
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ただ今、上程されました「辺野古新基地建設工事において沖縄の民意を尊重して最大限の配慮をするよう意見書提出を求める陳情」について、賛成の立場から討論いたします。
1995年の沖縄米兵少女暴行事件を契機に、沖縄の米軍基地に反対する運動や、普天間基地の返還要求、基地の整理縮小や地位協定の見直しを求める県民の声が大きくなり、整理縮小の案として普天間基地移設問題が持ち上がりました。1996年当時は、5年から7年以内の返還を目標としていました。様々な移設候補地を検討した後、1997年には、名護市辺野古付近に固まり、2002年には計画案が示されましたが、その後も建設の是非や工事工法を巡って、未だに沖縄の民意と国の計画との間には大きな溝があります。
今から11年前の2008年夏、私も現地、辺野古・大浦湾を訪ね、ジュゴンなど絶滅危惧種262種を含む5800種以上の生物が確認されている美しい海を見てきました。そして、辺野古への移設が発表された1997年から「宝の海を子孫に手渡すことが努めです。」と言い、基地を造らせないために毎日座り込みをしているおじいやおばあの話を聞いてまいりました。
今回の陳情は、唯一の地上戦で20万人の犠牲者を出した記憶をつなぐ県民が、過去2度の県知事選挙と県民投票で示した辺野古新基地建設反対の民意を尊重し、最大限の配慮を求める意見書を中野区議会として国に提出してほしいという内容です。
米軍基地の70.6%が集中する沖縄では、昨年12月から辺野古で新護岸造成、土砂搬入などの工事が行われていますが、難航を極めています。政府は沖縄県民の民意に反して工事を継続していますが、防衛局は既に2015年に大浦湾の土質調査の結果、マヨネーズのような軟弱地盤が広がっていることを把握していました。しかし、公表すれば沖縄県に対して公有水面埋立法に基づく設計概要変更申請が必要となるため、2018年まで3年間公表しませんでした。しかも、軟弱地盤は最も深いところで海面から約90メートルに達するため、広範囲にわたり大規模な改良工事が必要となります。地盤強化のために砂を締め固め、くいを約7万7千本打ち込む工法が検討されていますが、「現状では90メートルまで打ち込むのは技術的に不可能」ともいわれています。海面下90メートルの地盤改良という、世界でも前例がないと言われる工事には、650万立方メートルもの砂が必要ですが、それはそのまま沖縄の海、環境が破壊される量です。
さらに、10数名の地質学者が辺野古・大浦湾周辺の調査を実施し、大浦湾海底部に新たな活断層があるのではないかとして、防衛局に再調査を求めています。この無謀な辺野古埋め立ての経費を、国は2400億円程度としていますが、県の試算では2兆5500億円という巨額な数字が示されています。
ご存知のように、2月24日に実施された「米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設を問う県民投票」は、投票率は52%、反対が有効投票の72.2%に達しました。この43万票に沖縄県民が込めた思いは「普天間か、辺野古かの選択ではなく、限界を超えた過重な基地負担を根本的に沖縄からなくすこと」です。米軍のなすがままの運用に物言わぬ基地提供のあり方に対する、国への抗議と言えます。県民投票の結果について、総理は「重く受け止める」とコメントしましたが、一体どういう意味なのか、重く受け止められたはずの民意が、軽く吹き飛んで、工事は続行されています。この国の民主主義は、無いに等しいと言えます。
地元が強く反対する中、都合の悪い情報は隠し、総工費や工期を明示できない状態で工事が強行されています。老後の生活に必要な最低限の年金すら支給できない国が、民意を踏みにじるだけでなく、莫大な血税を浪費する荒唐無稽な工事を続けていいのでしょうか。
6月23日は、先の戦争の地上戦による犠牲者の慰霊の日でした。玉城知事は「県民の民意に寄り添い、対話による解決を」と、再度政府に求めました。私たち民主主義を尊重する中野区議会においても、既に同様の陳情を採択している文京区議会などと共に、沖縄県民が示した民意を尊重し、対話による解決を政府に求める意見書を提出するべきだと考えます。
以上、雑駁ではありますが、「辺野古新基地建設工事において沖縄の民意を尊重して最大限の配慮をするよう意見書提出を求める陳情」についての賛成討論といたします。
沖縄県名護市辺野古・大浦湾の辺野古新基地建設予定地にて。2008年7月視察
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