区議会報告 No.102

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 むとう有子の予算総括質疑より
(2024年度予算について) 2/28



●学習端末のネット環境整備を
むとう

 区立小・中学生1人1台の学習用端末が配備され、学校での学習と家庭学習を効果的に展開するため、AI搭載学習クラウドとデジタル百科事典を導入する予算5千万円を計上。学習環境格差が発生しないよう、就学援助受給世帯には、2021年度からオンライン学習通信費1人1万円、2024年度は1万2千円を支給。2022年度には民間学童クラブに学習用インターネット環境整備費を補助。
 しかし、ネット環境のない家庭や民間学童クラブがあると聞く。対応策を。

学務課長

 家庭に周知する。

育成活動推進課長  民間学童クラブとは協議を進めていく。
   
●中部スポーツ・コミュニティプラザの屋外運動広場にテニスコートラインの敷設を
むとう

 フットサルコートとして開設した屋外運動広場の稼働率が低いため、他の活用として2021年度から可動式ネットを配備しテニス利用を開始。ただし、コートラインがない。つまり、「水のないプールで泳げ」と言っているのと同じ。
 利用者からラインの要望があり、ラインテープを配備したが、運動広場はショートパイル砂入り人工芝でラインテープは貼り付かず危険。さらに現状の人工芝の上からはラインの敷設も不可能と判明。人工芝の耐用年数は。

スポーツ振興課長

 10年程度。2022年で、10年を経過。

むとう  既に耐用年数を超えた人工芝を早急に張り替え、可能な種目のライン敷設を検討してはいかがか。
スポーツ振興課長

 劣化を見ながら検討する。

●リサイクル展示室の発展的な再見直しを
むとう

 清掃事務所とリサイクル展示室の建替えに向けて、発展的な見直しを求めてきたが、9月で委託を終了し、10月からは直営。しかし、職員配置はなく無人。土日祝日は閉館。粗大ごみのリユースは継続。古着の回収は継続するが無料提供はなく、イベントで提供。フリーマーケットは終了等で、発展的な見直しではない。
 ごみ・環境・消費者問題等に取り組む公募区民や専門家を含む検討会を設置し、再検討を。

環境部長

 考えていない。

   
●区長車の廃止を
むとう  前区長は4期16年間、区長車を廃止して約1億4千万円削減。徒歩圏内は徒歩で、時短で行ける場所は電車で、必要な時にはタクシーやハイヤーを利用するのが合理的だが、区長公用車運行経費1千万円を予算化。徒歩圏内等を除く区長車の平日の稼働率は。
秘書担当課長 47.5%。

その他に、
災害廃棄物に備えて天蓋車の保有
ごみ分別の徹底・資源回収個所数の増設
を問いました。

 
 2024年度 一般会計予算 3/7

むとうは反対しました

 予算額は約2千4億円と過去最高。区民1人あたりの歳出額は1位千代田区101万円、2位中央区74万円、3位港区69万円に次ぐ4位が中野区59万円。高額所得者の多い区に次ぐ状況は、身の丈に合わず、背伸びをし、未来に暗い影を落とす予算。
 経済状況が不透明で債務負担も増す中で、新規事業が36もあり、見直し廃止事業はわずか3件。持続可能な区政運営とは言い難く、むとうは反対しました

  2024年度予算
一般会計 2,004億3,700万円
国民健康保険会計 350億8,400万円
後期高齢者医療会計 81億6,200万円
介護保険会計 252億3,500万円


「2024年度中野区一般会計予算」反対討論 全文

 ただ今、上程されました第6号議案「2024年度中野区一般会計予算」について反対の立場から討論をいたします。

 2024年度一般会計予算額は、『「暮らしの安心」と「まちの活力」動き始めた中野の未来のための予算』だとし、一般会計は2,004億3,700万円となり、過去最高額だった昨年度予算を48億700万円上回り、連続で過去最高額を更新し、2,000億円代に突入しました。

 3月5日号の中野区報の表紙は、これを自慢げに「2,004億3,700万円」と、数字が中央に大きな字で書かれています。そんなに誇らしいことなのでしょうか。

 23区の中で、区民1人あたりの歳出額は1位千代田区101万円、2位中央区74万円、3位港区69万円に次ぐ4位が中野区59万円です。高額所得者の多い区に次ぐ位置にいる状況は、未来のための予算とはいいがたく、身の丈に合わず、背伸びをし、無理くりし、未来に暗い影を落とすのではないかと、心配がよぎる予算です。

 物価高騰に実質賃金が追い付かず、厳しい生活の中で、確定申告の時期を迎えています。いつにもまして、地方自治法第2条の14「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」これを念頭に置いた予算でなければならないと考えます。

 これまで中野区は、財政運営の考え方の一つに「ビルド・アンド・スクラップ」を掲げていました。2024年度にも「経済状況が不透明で、債務負担も増す中では、PDCAサイクルをしっかりと機能させ経常経費の削減につとめ、新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド・アンド・スクラップによる事業展開を徹底し、持続可能な区政運営を確立しなければならない」と、記載されています。

 しかし実際には、2024年度予算においては、ほとんどなされていません。2023年度当初予算案の概要では、1ページを使って「予算編成における、ビルド・アンド・スクラップの状況」が記載されており、13事業で削減額、5,181万9千円の一覧表が載っていますが、2024年度の当初予算案の概要には該当するページがありません。各部の主な事業の中で、見直しと廃止は合わせて3件しか見当たりません。
 逆に新規事業は36事業もあります。これではビルド・アンド・スクラップとは言えませんし、PDCAサイクルは機能しているのでしょうか。

 立派な考え方が示されていますが、中身が伴っていないように思います。

 また、基金への積立金総額は、前年度比較で69億7,013万円、49.8%の減で、70億1,291万円となり、計画通りの積立ができない一方、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図ることを理由に、起債残高の推計は2023年度より39億円の増で、474億円です。

 少子化対策の成果はなく、中野区でも将来を担う子どもの数の増加見通しは厳しいのではないでしょうか。借金を払ってくれる将来世代は果たして存在するのでしょうか。「中野の未来のための予算」というのであれば、将来世帯へ負担を減らしてほしいものです。

 さて、国が給食費の無償化を実施しない中で、中野区が遅ればせながらも給食費相当額の保護者支援を継続して10億1,259万円を予算化したことは、賛成しますが、区立学校在籍以外の学齢期児童生徒への保護者支援、2億2,798万円分を区内共通商品券で支援することには反対です。

 1月30日の子ども文教委員会で、区内商業活性化の効果を見込んで区内共通商品券での支援についての報告があった時点で、ほとんどの議員が疑問を呈し、現金での支援に改めるべきとの意見が出されましたが、行政側が検討することもなく、予算審査に臨み、予算分科会でも、改めないという姿勢を貫いています。本来の事業目的は、物価高騰による保護者の負担軽減策ですが、そこに区内商業の活性化を加えたのはなぜなのでしょうか。

 区内共通商品券を使えるお店がほとんどないエリアもあり、利便性で現金に勝るものはありません。まして、今年度は現金を振り込みました。使いがってが悪い方法へ変更することに納得する保護者の方はいないと思います。本来の目的を最大限達成し、保護者に喜ばれる支援となるよう、現金に改めるべきです。

 また、デジタル地域通貨事業が新規で6億1,683万円が予算化されています。区内限定で利用できるキャッシュレス決済アプリを導入し、区内の消費活動と経済循環を活性化させ、コミュニティポイントや給付事業等の区施策との連動を図るとしています。

 しかし、先行する渋谷区でさえも、登録者数や加入店舗数が伸びず、伸ばすためにポイント還元キャンペーンなどの事業予算が年々増額されています。

 さらに東京都も2024年度、25億円の予算で、アプリの開発を目指しています。都も、民間事業者のQRコード決済と連動させて、ポイントの還元を行う都のイベントに参加してQRコードを読み取ると、ポイントが専用アプリに付与されるという仕組みです。この付与されたポイントの使える範囲について、イベントを行う自治体が設定できるという機能です。

 例えば、中野区のイベントでポイントを配布した場合、このポイントを区内のお店で使ってもらうため、自治体は使える範囲を中野区だけに設定できるようになります。この機能は自治体のほか中小企業といった店舗の大きさに加え、業種なども細かく設定できるようになるということです。

 先行している渋谷区の状況を踏まえると、中野区が実施するのは控えた方がよいのではないか、また東京都の事業を踏まえると、都の事業と連動した方がよいのではないかと考えます。

 いずれにしても、今年度の区単独の事業化は見送り、状況を見極めながら慎重に検討するべきだと考えます。

 また、サンプラザが閉館し、区役所も新庁舎に引っ越して、いよいよ区役所・サンプラザ跡地の再整備事業が大きく動き出します。事業収支に大きな不安材料があるまま、民間事業者任せで、区の主体性がないまま突き進むことに疑念が膨らむばかりです。

 市街地再開発事業による権利変換方式で進めるのではなく、定期借地権方式に改めることを求めても聞く耳を持たず、事業者募集をし、多額の国の補助金を前提とした資金計画であった野村不動産に決定しました。すでに多額の国の補助金を前提とした資金計画は見直しを強いられています。
 そこに物価高騰による建設費の高騰で、事業費は当初の1810億円から829億円も増加し2639億円に膨らみました。まだまだ膨らむ可能性があります。

 2023年11月21日放送のNHKクローズアップ現代「駅前・高層再開発の落とし穴」の中で、明治大学の都市政策専門の野沢教授は「高く大きくからの脱却」を提言されていました。

 日本の国の公的債務残高は、GDPの2.5倍という空前の水準に達しています。これは太平洋戦争末期を上回り、「借金漬け」と批判されています。国の2024年度予算では新規国債を35兆円積み上げ、公的債務は1千兆円に及び、財政の健全性を取り戻すには、前途多難な道のりです。

 つまり、国の補助金頼みのまちづくりは、もうやめた方が良いということです。
 一方、平和の旅、おくやみ窓口の開設、社会的養護自立支援拠点事業、製品プラスチックの資源化、マイボトル用給水機設置など、賛成できる予算も含まれていますが、「中野の未来のために」なると思える予算より、「中野の未来のためにならない」と思える予算が多々あり、将来世代に負担が重くのしかかる懸念が払拭できません。

 また、区民に負担をかけずにできる経費削減は、区長公用車の廃止です。まずは区長ご自身が、経費削減のために汗を惜しまず町を歩く姿を区民に見せてほしいものです。

 区自らがおっしゃるように「経済状況が不透明で、債務負担も増す中で、PDCAサイクルをしっかりと機能させ経常経費の削減につとめ、新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド・アンド・スクラップによる事業展開を徹底し、持続可能な区政運営の確立」を私も願い、雑駁ではありますが、第6号議案「2024年度中野区一般会計予算」に対する反対の討論といたします。

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