区議会報告 No.38

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2008年度 一般会計予算 3/10

 むとうは反対しました

 区は区民の平均給与収入を前年度とほぼ同額と推計しながらも、特別区民税は約5億5千万円の増額を見込んでいる。これはまさしく、収入は変わらないのに支払う税金が高くなることを意味する。だからこそ大事に有意義に使わなければならない。しかしこのところ、限られた予算の中での事業の優先順位が民意とかけ離れている。例えば、いざ出産し保育園入園を希望しても定員オーバーで入れない現実の前で、常陸太田市への風車建設予算は納得できない。まずは保育園を拡充し、温暖化対策は区内でできることから着手すべきである。このように区民生活に根ざした予算とは言い難く、むとうは反対しました。

 なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

2008年度予算
一般会計 973億8,800万円
国保事業会計 330億6,800万円
後期高齢者医療会計 51億6,100万円
介護保険会計 165億8,400万円

第5号議案2008年度中野区一般会計予算反対討論   全文  

 ただ今上程されました、第5号議案2008年度中野区一般会計予算に反対する立場から、討論いたします。

 我が国の経済は、ゆるやかな回復傾向にあると言われていますが、庶民の暮らしには、一向に景気回復の兆しが感じられません。中野区は、区民の平均給与収入を前年度とほぼ同額と推計しながらも、特別区民税は、前年度比較で5億5594万3千円の増額を見込んでいます。区民にとってこれはまさしく、収入は変わらないのに、支払わなければならない税金が高くなることを意味します。苦しい生活の中から頂く税金だからこそ、大事に、有意義に心して使わせていただかなければなりません。

 区長は、職員2000人体制を繰り返し唱えられ、その実現を中心にすえた予算編成をおこなっています。しかし、2000人が妥当である明白な根拠が示されていません。区がやらなければならない事業を区民と共に精査し、その上で、それを遂行するために必要な職員数の綿密な積み上げは、なされていません。区長はご自身の在任期間の中で、人件費削減を数字でしめし、成果としたいのだと思いますが、このままでは、団塊の世代の職員が退職した後に、そして、区長ご自身が退任なさった後に、仕事を継承しうる職員の育成がままならぬ事態に陥る危険性を危惧します。計画的な職員採用が急務です。

 なお、小さな区役所を目指すならば、右から左への民間委託化や区民委託化を進めるのではなく、区民と共に肥大化した仕事内容を丁寧に見直すことこそが重要です。しかし、ここのところ、区民にとって必要な事業を、区民抜きで区が廃止を決定してから、区民に事後説明をするなど、民意が区政に反映されていないと感じています。また、限られた予算の中での事業の優先順位について、区民の思いと区の決定とがかけ離れているようにも思えます。

 そのような中でも、老朽化に伴い建替えが望まれていた療育センターアポロ園や母子生活支援施設の整備のための予算、妊婦健康診査の拡充、犯罪被害者対策支援、義務教育通学等支援、野方駅整備、東中野駅前広場整備、学校給食における強化磁器食器の導入、図書資料の充実など、もちろん歓迎すべき予算も組み込まれています。

 しかしその一方で、ずさんな見通しの甘さが招いた中小企業退職金共済会への3億円を超える財政支援金は、誰も責任を取らない役人気質の本質的問題点が浮き彫りとなった事例です。加入している中小企業の皆さんの立場に立てば、いたしかたにない予算かもしれませんが、妥当な予算措置とは言えません。また、地球温暖化対策の推進は、待ったなしの深刻な課題であると、誰もが認めるところですが、しかし、その対策がひたち太田市に風車を建設することなのでしょうか。風車建設が中野区の2008年度予算の目玉であるかのごとく、新聞記事に掲載され、多くの区民から、批判の声が上がっています。まずは、中野区内でできる温暖化対策から着手すべきです。さらに、風車とセットで、里・まち連携推進が新規事業として予算化されていますが、推進協議会まで設立して取り組む程の必要性と緊急性があるとは、とても思えません。今この時期に、保育園の入園窓口では、乳児を抱えて、仕事に就かなければならない若いお母さんたちが、0歳児定員オーバーで受け入れてもらえず、不満続出で職員が大変苦慮されています。少子化対策、子育て支援と声高に叫んでも、いざ出産し保育園入園を希望しても入れない現実の前で、風車と里・まち連携推進が区民ニーズであるはずがありません。

 また、高齢者が必要としているわずか206万円の高齢者会館入浴事業の廃止にも納得ができません。高齢者のかた方に入浴事業についての、充分な周知徹底を図らずに、利用者が減少していることを理由に廃止を決めてしまうのは拙速です。その一方で、小中学校再編計画においては、計画策定の詰めの甘さから、計画変更が余儀なくされ、1億6千万円をかけて大改築した聞こえとことばの教室が取り壊しとなり、そのために必要となる仮学級改修工事費3613万円が予算化されていますが、この仮学級はわずか2年でいらなくなります。さらに、新校の位置変更により野方小の仮校舎設計費も無駄になりました。このように、行政自らの無駄な出費については、大変寛大でありながら、区民にとって必要な事業でも、利用者数が減少すると容赦なく切り捨てる姿勢は、見過ごすことはできません。また、2004年に議会が全会一致で採択した「北西部の中学校に知的障がい学級の新設をもとめる陳情」を踏まえずに、北東部に位置する7中に学級の開設予算8172万円が組まれています。北東部の必要性は認めますが、北西部にも必要なのですから、2校分の予算を組むべきです。

 また、コンプライアンス・法令遵守推進体制の整備が新規予算化されています。中野区職員倫理条例を制定し、中野区法令遵守審査会が設置されることになります。このこと事態は良いことなのですが、逆の見方をすれば、ここまでしなければ、ごく当たり前な公務員としての法令遵守ができていかないと言うことなのでしょうか。現在、東京高裁で、いわゆる中野区幹部職員の不正打刻事件が係争中ですが、1月24日に副区長、2月14日に区長の証人尋問がおこなわれました。傍聴した多くの区民が、中野区の最高責任者であるお二人に法令遵守意識の欠如を感じ取りました。今ここで、法令遵守推進体制の整備に取り組まれるのは、区長ご自身のえりをただす意味合いが込められているのでしょうか。一般職員に対して,説得力を持ちません。

 以上、2008年度予算について、雑ぱくではありますが、私が思うところを述べさせていただきました。つねに区民の思いに寄りそう区政運営を願い、簡単ではありますが、第5号議案2008年度中野区一般会計予算についての、反対討論といたします。

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