区議会報告 No.72

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議会一般質問より

 生活保護業務の質の向上を
むとう

 生活保護の廃止理由は様々あるが、高齢者世帯が半数を占める中野区では、死亡による廃止が最も多い。査察指導員、ケースワーカー、精神保健福祉士の認識、経験、能力、連携不足により、大家さんが自殺後推定3か月のご遺体を発見することとなり、大きな精神的・肉体的苦痛、今後、アパートが事故物件となる経済的損失、区職員との話し合いによる精神的ストレスを受けるという事案が発生した。この事案を検証することは、ケースワーク全体の質の向上に繋がる。

 自殺した保護受給者Aさんは家賃を毎月振り込み、一人暮らしをしていた。家賃の遅滞を不審に思った大家さんから安否確認要請を受けてケースワーカーが訪問したにもかかわらず、応答が無く不在と判断し、大家さんに鍵を借りて室内を確認せず安否確認を怠り帰庁した。これは職務能力の欠如と言える。

 長期間、気配がないことを不審に思った大家さんが、Aさんの部屋の鍵を開けて遺体を発見し、警察に通報した。警察が遺族を探し連絡するも、遺体の引取りと葬祭の意思は無く、無縁仏として区が葬祭執行した。

 またこの事案は、適切な訪問が行われなかったために発見が遅れ、腐敗がひどく室内が劣悪な状況であり、「単身世帯の荷物撤去及び清掃の法外援護利用事務取扱基準」に該当し、費用が支給されることをケースワーカーは大家さんに説明せず、なおかつ、支払う意思の無い遺族に、交渉するよう誤った説明をした。

 さらに、相続意思の無い遺族に死後2か月分の保護費が振り込まれている通帳とキャッシュカードを、返金義務の説明や、事後処理の必要性を説明せず渡した。これらもケースワーカーとして基本的な能力・知識不足と言わざるをえない。

 大家さんからの安否確認要請を受ける以前に区は、Aさんの体調不良を把握していたにもかかわらず、地区担当ケースワーカーの変更等もあり連携ミスが続き、遺体発見が遅れた。事後処理についても不手際が続き、大家さんが区職員との話し合いで受けた精神的ストレスを垣間見て、私は申し訳ない気持ちを抱いている。この事案についての認識と、再発防止策を問う。

区長

 ご指摘の内容を参考に、区として検証し、より適切な処遇となるよう努める。

むとう

 生活保護の適正化が求められる中、査察指導員による指導監督の強化、ケースワーカーの増員、社会福祉法に定める社会福祉主事資格取得の支援、本来のケースワークに専念できるよう業務内容の改善、短期異動にならぬよう人事の見直し、ベテランと未熟なケースワーカーとの実力差の是正等、さらなる生活保護業務の改善を求める。



*無所属議員の一般質問もシティテレビ中野で放映されますが、一定例会一人か二人です。むとうの放映予定は未定です。

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