区議会報告 No.88

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この道や 行く人なしに 秋の暮れ

 はるかに続くこの道には通る人もなく、秋の夕暮れの寂しさが身に染みる、という松尾芭蕉の俳句です。

 春夏秋とコロナの終息の目途も立たず、ウィズコロナと言われても、何かと行動に制限が多く、一人の時間が長くなり、孤独感が生まれ、今後の生活に不安感が募る昨今です。

今年初めて届いた「高齢者インフルエンザ予防接種案内」を手に、老い先や、子どもたちに渡す日本に不安を抱く私も、芭蕉の心境です。家族との面会も外出もできない高齢者施設に入所する私の母もまた、小さな窓から見える小道と夕暮れに、同じ心境かもしれません。

 9月に前総理の政策を引き継ぐ菅総理大臣へと変わりました。どのみち同じ穴のムジナですから期待はできません。また、時の権力者が恣意的な選別をした日本学術会議問題、非正規社員待遇格差是正問題、福島第一原発事故の汚染水海洋放出処分、核兵器禁止条約の未批准等々、日本の行く末も、この道や行く人なしに秋の暮れ、と感じさせます。

 それでも、秋になると、毎年友人から届く巨峰に始まり、栗、無花果、柿、銀杏と秋の味覚を楽しみ、自然の恵みから生きる力を得て、あきらめずにこの道を歩まん。

むとう有子

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