区議会報告 No.98

0前へ  区議会報告トップ  次へ0

 むとう有子の予算総括質疑より
(2023年度予算について) 2/22



●区長車の廃止を
むとう

前区長は区長車を廃止し、必要に応じてタクシーやハイヤーを使用し、4期16年間で約1億4千万円を削減。現区長もコロナ禍の2021、22年度は区長車を廃止し、タクシーやハイヤーを利用していた。
ところが23年度は、5月のコロナ5類への緩和で、公務による外出が増加するとは思うが、区長公用車運行経費1255万円を予算化しているのはなぜか。

公報広聴課長

危機管理、非効率性の解消、職員の事務負担軽減から予算化した。

むとう 常駐する区長車が必要だとするのであれば、非効率な業務改善と運行実績の検証と公開を求める。
   
●児童館での一時預かり事業の見直しを
むとう

利用状況と費用対効果で、保育園での一時預かり事業に劣るため再検討を求めたが、児童館での一時預かり事業に1千3百万円を予算化。1月末までの実績は。

育成活動
推進課長

1人の経費は5万3149円、1時間の経費は1万7486円、利用率は25・4%、当日利用件数は4件。

むとう 保育園での専用室型一時保育事業に一本化すべき。

●児童館の存続と充実を
むとう

2021年12月、18児童館のうち朝日が丘・新井薬師・大和西・弥生児童館の4館の廃止条例が反対21、賛成20で否決。
児童館は、児童福祉法で規定する児童厚生施設で、遊びの指導者は保育士・社会福祉士・教育職員免許取得者等を置く。これに基づく児童館存続を望み私は条例に反対した。
廃止条例否決で4館の存続が決定したにもかかわらず、昨年12月、児童館の配置は「中学校区に1館で9館」、廃止を否決した「4館は児童館ではなくなり、乳幼児親子向け施設」と公表。なぜか。

育成活動
推進課長

9館の直営児童館・中高生館・乳幼児親子向け施設との考え方だ。

むとう

9館以外は民間委託しても、児童福祉法に基づく児童館とするべきでは。

育成活動
推進課長
施設内容に応じた規定で運営する。
むとう 廃止条例否決を尊重しない区政運営に失望した。
   
●男子HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)接種は慎重に
むとう 2013年、小学校6年生から高校1年生の女子にHPVワクチンを定期接種化した直後から重篤な副反応事例が多発。積極的勧奨を中止し、22年再開。被害者は未だに深刻な副反応症状に苦しんでいる。
中野区は男子に任意予防接種費助成を1千5百万円予算化。案内はがきには、接種の判断材料となるよう、効果だけではなく、重篤な副反応の記載をせよ。
保健予防課長 検討する。

 
 2023年度 一般会計予算 3/2

むとうは反対しました

 約1956億円と過去最高額。納税義務者数・特別区税・特別区交付金等の増がある一方、新区役所整備・中野駅周辺のまちづくり費等を起債(借金)し、起債残高は435億円。少子化が進む中、将来世代に負担が重い予算です。中野駅周辺の市街地再開発事業は、民間事業者任せで、区民生活を豊かにするための再開発を目指す区の主体性がなく、むとうは反対しました
 なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

  2023年度予算
一般会計 1,956億3,000万円
国民健康保険会計 360億4,400万円
後期高齢者医療会計 79億2,100万円
介護保険会計 244億5,800万円


「2023年度一般会計予算」反対討論 全文
 ただ今、上程されました第5号議案「2023年度中野区一般会計予算」について反対の立場から討論をいたします。

 2023年度一般会計予算額は、1,956億3,000万円で、前年度と比べ376億9,500万円、23.9%の増額となり、過去最高額です。区民1人あたりの歳出額は、1位千代田区110万円、2位中央区85万円、3位港区62万円に次ぐ4位が中野区の58万円です。
 高額所得者の多いこれらの区に次ぐ位置にいる状況は、未来に影を落とすのではと心配がよぎる予算です。

 納税義務者数が1122人増え、特別区税が34億6千万円の増、特別区交付金が29億円の増、地方消費税交付金が14億円の増に、気が緩んでいるのではないでしょうか。
 決算時には毎年、中野区は23区平均より公共施設の老朽化が進み、社会資本形成の世代間負担比率が高く、将来世代に負担が重くのしかかると分析されています。

 23年度予算でも、新たに区役所新庁舎整備に120億7千万円、中野駅周辺のまちづくりに41億3千万円、学校施設整備に113億3千万円で、合計275億3,500万円を起債し、起債残高は推計435億円に増えます。

 起債の活用理由を、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図るためと大義名分を掲げていますが、少子化対策の成果はなく、中野区でも将来を担う子どもの数の増加見通しは厳しいのではないでしょうか。

 厚労省が28日に公表した22年に生まれた子どもの数は77万人であり7年連続で減少し、ついに80万人を割り込みました。借金を払ってくれる将来世代は果たして存在するのでしょうか。

 昨年から物価高騰が続き、建設資材も値上がりし、公共施設建設費のアップによる契約金の見直しが続いています。先行き不確実な経済状況、伸び悩む合計特殊出生率を鑑みれば、労を惜しんで区長車で移動する状況ではないと考えます。
 歳入が増えた時にこそ、歳出を抑え、起債を抑え、基金を増やしてほしいと思います。

 地方自治法第2条の14に、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」とあります。これを念頭に置いた区政運営をしていただきたいと願っています。

 この法に反する事例が、予算総括質疑でも触れましたが、まさに児童館2館での一時預かり事業です。多少の改善はあるものの、1人当たりの経費は5万3,149円、1時間当たりの経費は1万7,486円、利用率は25.4%、この事業の売りである当日利用件数は4件です。
 私立保育園での専用室型一時保育の1人当たりの経費8,483円の6倍の経費をかけて児童館で実施する根拠がありません。
 事業評価と再検討を求めた際には「効果的な展開を区全体で検討する」との答弁でしたが、区全体で検討した結果が、児童館での幼児一時預かり事業2か所を継続し1,361万4千円の予算化だとするのであれば、区全体で「最少の経費で最大の効果」とは何かを考察する能力が欠如していると言わざるを得ません。

 子育て先進区を目指すわりには、このような無駄な事業の予算化を含めても、投資的経費を除く子ども教育費の一般会計予算に占める割合が伸びていないことも気になります。

 一時保育だけではなく、まだ他にもあると思います。隣の課が実施している事業内容は関知しないという縦割りではなく、区全体で事業内容を点検し、同じような事業に屋上屋を重ねる事業は廃止するべきだと考えます。常に費用対効果を検証し、同じような事業は集約し拡充するべきです。

 区長は、現場の担当職員や担当課長、部長と十分議論をなさっていらっしゃるのでしょうか。職員が現場からの意見を上司に言える職場環境は整っているのでしょうか。職員からのボトムアップの区政運営を目指してほしいものです。

 また、中野サンプラザの外壁へのプロジェクションマッピングを、6,422万円をかけてまで行う必要があるのでしょうか。さらに、女子への重篤な副反応の治療方法もないまま、無責任に積極的な接種を促していくとする男子HPVワクチン任意予防接種費用助成1,594万円も納得できません。

 その一方、不十分ではありますが、次世代向け平和事業に255万円、小中学校の指導・組織体制の充実に3億円、プラスチック使用製品資源化に伴う広報に2,646万円など賛成できる予算もありますが、「最少の経費で最大の効果」を検証しないまま、予算化している事業が散見されます。

 中野駅周辺の市街地再開発事業についても、民間事業者任せで、区民生活を豊かにするための再開発としようとの区の主体性が感じられません。

 以上、将来世代に負担が重くのしかかることがないよう願い、雑駁ではありますが、第5号議案「2023年度中野区一般会計予算」に対する反対の討論といたします。

もどる