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カトマンズからの便り

 ―混迷するネパールの政治状況―

 ヒーローは世界を変え、そして、自分自身をも変える。マオイスト(毛派)は10年に及ぶ政府軍との内戦の後、今、ネパール政界に影響をもたらす一政党となった。1996年に内戦は始まり13,000人もの人命を失わせた。
 2006年、平和協定により悲惨な内戦は終り、マオイスト派が表舞台に登場してきた。
 2008年には総選挙がありマオイスト派が第一党となった。ネパール国民は世紀に渡った旧弊の王政を廃止した。2008年5月28日共和制移行を宣言した。これは長年に渡るマオイスト派の主張であった。
 それから2度内閣が変わっているが新憲法は未だつくられていない。
 国連使節団(UNMIN)は兵器と兵員の監視・チェックに来たが、現在はすでに引き揚げてしまっている。その役目はネパール人自身に突き付けられている。首相、大統領は選ばれ、各大臣も揃い国会議員も復活した。
 「彼らはその道のエキスパートだ。彼らは新しいネパールのために変革を遂げる仕事を担っている」と話すのは、ムスタン地方(カトマンズより西、チベット自治区と国境を接する)に住んでいる主婦のタシ・グルングだ。
 私(ビビ)がツアーガイドで訪れた時、話を聞いた。

 ドクター・バタライ(マオイスト派の副議長)が昨年の8月からこの国における第36代目の首相に就任している。ネパール南部のテライ地方の地域政党のサポートを受けている。第二、第三党であるネパーリコングレス(NC)と統一共産党(CPN−UML)は現在野党である。
 この二大政党はバタライを引きずり下ろすことに懸命で“政局ゲーム”に明け暮れている。またマオイスト派内でも二番目の有力者モハン・バイディヤもバタライ政権に反対している。(トップがプラチャンダ、三番目がバタライ)

 現政府はカトマンズ(首都)の道路拡張工事に大忙しのように見える。「バタライはエンジニア」と話すのは、市内の交通警官バルティアだ。続けて、「カトマンズの交通量が増えているので道路を広くして運行しやすくすることが必要だ」と話す。日本の建設業者がこの国で初めての片道三車線の道路をカトマンズ―バクタプール間に完成させたばかりである。政府発表によると、カトマンズの外側を走るリングロード(環状線)や市内の狭い道路も拡幅工事に入ると発表している。

 元国王のギャネンドラが地方巡業をしている時、カトマンズの中心地、立法府の近くで爆発事件が起こり3人の通行人の命が奪われた。警察は前政権(国王派)の人物が関与しているのではないかと見ている。
 最高裁は立法府に対して本年5月28日までに新憲法の公布を指令しているが、実際は混沌としたままだ。各政党はこの最高裁の指令を快く思っていない。しかし、新憲法の公布は国民が選挙によって要求したものだ。

 現首相ドクター・バタライは、
 「我々は時間内に新憲法の発表と完全な平和構築を達成しなければならない」とラジオネパールで宣言した。「そうでなければネパール国民は我々を認めてくれないだろう」とも付け加えた。

 ―ネパール近年の動き―

1990年:民主化、政党政治が復活
1996年:マオイスト派が武装闘争を始める
2001年:王宮内で射殺事件が起きる。ビレンドラ国王を含む9人が死亡
2005年:ギャネンドラ国王が議院内閣制を潰し直接統治する
2006年 4月:直接統治に対する抗議デモが全国的に広まり、再び政治権限を国民に戻す
    11月:マオイスト派と政府が和平協定に調印、内戦が終結する
2007年 1月:暫定法が成立
    12月:暫定議会で王政廃止、民主制移行を採択する
2008年 2月:南部のインド系住民「マデシ」が政府と自治権で合意
     4月:制憲議会選挙を実施
     8月:第一党に選ばれたマオイスト派が政権につく
2009年 5月:マオイスト派と国軍が意見衝突、その結果マオイスト派が
        下野する
2011年 8月:ドクター・バタライ(マオイスト派)が36代目の首相に就任する


 マオイスト派の支持者たち ―カトマンズで―


 演説するプラチャンダ ―カトマンズで―


 三人のおばさん ―ムスタンで―


 山羊とおじさん ―ムスタンで―

     写真と文:ビビ・フンヤル 訳:志鎌 誠