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むとう有子をとりまくうるさい人たちの声


No.23
児童館縮小で失われるものは大きい

山神 美喜子
 中野区の児童館が縮小されようとしている。多くの児童館は廃館,児童館機能は学校に移され,それに伴い学童クラブも小学校に移設,企業やNPOなど民間に委託するというのが区の方針である。さらに乳幼児に関しては,廃校に設けられる総合公共サービスセンター(仮称)と数館残される児童館で受け入れる。長年にわたって児童館に関わってきた者として,区の方針には大いに疑問がある。問題点をいくつか指摘してみよう。

(1)地域コミュニティーの拠点を失う
 児童館は,乳幼児親子からお年寄りまで,異世代が交流できる貴重な場である。しかし,区の方針では世代別に分断され,交流機会が奪われてしまう。これは,基本構想案でも謳っている「地域コミュニティーの再生」に相反してはいないだろうか。

(2)生活圏内での子どもの居場所が失われる
 統廃合された学校に児童館・学童クラブが移設された場合,放課後の子どもの居場所は生活圏から遠ざかることになる。また,総合公共サービスセンター(仮称)と数館残される児童館だけでは,乳幼児親子にとっても気軽に立ち寄れる場ではなくなってしまうだろう。子ども関連施設は生活圏内にあることが大前提ではないか。

(3)学校併設型では開放感が得られない
 文園児童館で子どもの意見を聞く会を実施したところ,子どもたちは一様に「学校ではのびのびと遊べない」と答えた。学校から切り離された開放的な環境でこそ,子どもの健全育成という本来の役割を果たすことができるのではないだろうか。

(4)民間委託すると学童クラブは託児所化する
 企業に委託すれば長時間保育など利便性は高まるだろうが,一方で失われるものも大きい。企業論理のサービス向上は学童クラブの質の向上と合致し得ず,むしろ健全育成という機能面の質は低下する。学童クラブは親の都合優先で運営されるべきではないだろう。
 児童館・学童クラブは単に専用スペースを確保すればいいというものではない。果たすべき役割について,区はしっかりと認識すべきである。

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