区議会報告 No.25

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可決された主な議案より 3/25

中野区基本構想

むとうは反対しました

 「ともにつくる人間のまち中野」を基本理念として1981年に制定した基本構想を全て破棄し,新たに定めたものです。そもそも基本構想とは,区が目指す理想のまちの姿を理念的,普遍的に描くものです。
 全面改正にあたり,職員プロジェクト,審議会,区民ワークショップ(145名)が設置され,約2年間に及ぶ熱心な議論がなされました。しかし,区がまとめ上げた基本構想に,これまで関わった多くの区民の方から失望の声が寄せられています。また,審議会の答申では「参画と協働」が基調となっていましたが,基本構想では「自己責任による地域自治」が強調され,「ともにつくる人間のまち」から遠のくばかりで容認できず,むとうは反対しました。

中野区自治体基本条例

むとうは反対しました

 区長は「本条例制定により,区民参加が有効に機能し,中野の自治の発展に大きく寄与する」と述べました。しかし,これまで行っていた手続きのみが規定されているだけで,有効に機能する制度が盛り込まれていません。住民投票の実施が規定されましたが,地方自治法に基づく直接請求制度を繰り返しただけで,18歳以上の未成年,永住外国人に請求及び投票資格者を拡大するなどの上乗せもありません。また事前に示されていた「共同提案」「区民合意による地域協定」が削除され,さらに実施状況等を管理する第三者機関設置規定もなく,これでは区民参加手続きの進展も保証もできないと考え,むとうは反対しました。

(反対討論全文)
 第35号議案「中野区自治基本条例」に反対の立場から討論いたします。
 区長が施政方針説明の中で「自治基本条例が制定されることになり,区民参加が有効に機能し,中野の自治の発展に大きく寄与することになる」と述べられたことを受け,私は今定例会における一般質問で,区民参加が有効に機能する制度が自治基本条例に盛り込まれるよう質疑いたしました。
 しかし,実際に上程されました「中野区自治基本条例」は,先に示されていた「条例に盛り込むべき主な項目と考え方」から,さらに区民参加の制度が後退しています。そもそも「条例に盛り込むべき主な項目と考え方」に示されていた区民参加の制度も中途半端で不充分なものでした。それが実際の条例では,条例を制定する意味が全くないと思える程の後退した内容なったのには驚くばかりです。
 「盛り込むべき主な項目と考え方」では,従来の行政発の参加手続きに加え,「共同提案手続」という区民発の参加手続きが盛り込まれていました。これは実効性が疑わしいとはいえ「区民合意による地域協定」とともに,2つの目玉となっていました。しかし,条例では「共同提案手続」が完全に削除され,「区民合意による地域協定」も,第17条「区民の合意事項の尊重」という,全く内容のない条文に後退してしまいました。
 ちなみに,今回幻に終わった共同提案制度に類する市民政策提案手続制度は,埼玉県和光市の市民参加条例をはじめ,最近盛り込む自治体が増えています。もっとも新しい例としては,いま検討中の福岡県宗像市の市民参画条例(案)があります。
 宗像市の素晴らしいところは,市民参加を市が実施主体となって行う市民参画と,市民自らの意思で政策を提案する市民参画に分けている点です。前者については審議会等の設置,パブリック・コメント手続,市民説明会,市民ワークショップの4つとし,この中から1つまたは2つ以上を組み合わせること,さらに効果的な手法がある場合はそれを用いることを明記しています。
 注目したいのが,市民が求める市民参画の手法として,中野区の「共同提案制度」と類似した「市民政策提案手続」を採用している点です。それによると,(1)市民500人以上の連署により,市民自らが政策の提案を行うことができる。(2)提案された事項が市民参加の対象事項に該当するかどうかを審査する。この審査に不服のある場合,不服申し立てをすることができる。(3)提案者は,提案した事項について自分たちの意見を説明し,広くほかの市民の意見を求めるため,政策提案市民検討会の開催を市に求めることができる。さらに,開催を求めない場合,市は第3者機関に意見を求め,その意見を参考に実施するかどうかの決定を行うとしています。
 以上は,まだ案の段階ですが,ほぼ議会の賛成を得られており,この内容のまま条例化され,6月議会で可決される予定であると担当者はおっしゃっていました。このように市民が求める市民参加手法として「市民政策提案手続」を採用する自治体が徐々に出ているなか,中野区が唯一先進性を誇ることができたであろう「共同提案手続」を撤回したことは誠に残念です。
 また,第4条「区議会の役割及び責務」第1項の冒頭「区議会は,区民を代表して重要な意思決定を行う」というくだりは,先に示された「考え方」では,「区議会は,区民の信託に基づき重要な意思決定を行う」となっていました。両者は,区民を自治の主体とみなすかどうかという点で決定的な違いがあります。「区民を代表して」という表現は,区民が自治の担い手(主役)であるという基本的な原則を否定しかねない表現です。
 区民の参加と協働による区政運営のための仕組みを定めるという条例の最大目標からすれば,実際の条例は「現状の中野区の低レベルの区民参加を追認し,固定化する」だけのもので,むしろ有害であるとさえいえます。せめて「共同提案制度」が盛り込まれていれば若干の前進があったのですが,結局,区民参加手続については,区の基本構想及び宣言,基本計画及び個別計画,区政運営の基本的な方針や区民に義務を課し,権利を制限する条例,大規模施設の建設に係る基本計画の策定及び改廃にあたり,原則として「個別意見の提出,意見交換会及びパブリック・コメント手続を経るもの」とするだけにとどまっており,いずれも既に実行中のものです。
 結局,自治基本条例を制定しても,区民参加については何も変わりません。
 住民投票制度についても,地方自治法上の直接請求制度を繰り返しただけで,何の上乗せもありません。せめて杉並区のように18歳以上の未成年及び18歳以上の永住外国人を含むところまで「請求及び投票資格者」を拡大するとか,さらに大和市や岸和田市の条例のように,常設型住民投票条例の根拠規定を置くべきでした。
 最後に,条例をきちんと区が遵守しているのかどうか,条例の実施状況はどうか,さらに見直しの発案を行う権限をもつ「第三者機関」の設置規定がない点も致命的です。いまどき,このような第 三者機関設置規定がない自治基本条例は時代錯誤のそしりを免れません。
 市民参加のあり方を専門に研究されている大学の教授の方に中野区自治基本条例をお見せしたところ,「残念ながら,全国の自治基本条例のなかでも最も水準の低い部類に入ります。かつて市民参加の先進自治体といわれた中野区でこのようなことになるのは,本当に悲しいですね。コミュニティ自治のあり方を含め,まだまだ検討すべき課題はたくさんあります。もっと時間をかけ,たくさんの区民が参加して,自治基本条例を先行させるべきか,むしろ区民参加条例を先につくるべきか等の検討を含め,議論すべきでした。」とのコメントをいただきました。
 自治基本条例が制定されれば,一見すると区民参加が制度化され,行政に対し区民参加手続きが義務づけられたかのように見えるかもしれませんが,実は何の拘束力もなく,何も変わらない条例は百害あって一利なしと,言わざるを得ません。
 実効性のある参加制度がない条例は制定する必要性がないばかりか,単に区長の実績づくりでしかないように思えてなりません。かつ,時間をかけた審議会や,特に自治基本条例研究職員プロジェクトチームの検討報告が生かされていないことが大変残念です。
 いかにも先進的に見える取り組みの,自治基本条例や歩行喫煙の禁止条例ですが,流行りものの名前だけ借りた二番煎じの感が否めません。先行事例をしっかり研究し,中野区らしい条例が提案されるならまだしも,それもしないで提案される条例は,区民にとって失礼千万であることを申し添えて,反対討論といたします。
中野区吸い殻,空き缶等の散乱防止に関する条例の一部を改正する条例

むとうは反対しました

 この条例改正は,歩行喫煙の防止,路上喫煙禁止地区の指定,さらに命令に違反した者に1万円以下の過料を科すことを規定したものです。しかし,このような迷惑行為を全て法的な強制力を行使して規制することで,私たちの生活空間が快適になるのでしょうか。
 路上喫煙禁止で有名な千代田区の今年度予算は1億5千万円です。
 罰則を付けて徹底しようとすればするほど,摘発を逃れる人が出てきては効果がなくなり,不公平になるとの思いから取り締まりが強化され,人件費を含むコストが年々増えています。中野区の今年度予算は841万円です。歩行者の多い中野駅前に灰皿を設置するだけの区の対応には首をかしげるばかりです。一切の煙が漏れない分煙化が図れる喫煙場所を設置すべきです。禁煙,分煙の拡がりの現実の中で,今後の公的空間での喫煙のあり方を今こそ教育として捉えるべきです。マナーで注意すべき問題を条例によって取り締まる行き過ぎた条例改正であると考え,むとうは反対しました。

(反対討論全文)
 第23号議案「中野区吸い殻,空き缶等の散乱防止に関する条例の一部を改正する条例」に反対の立場から討論いたします。
 この条例改正は,歩行喫煙の防止,路上喫煙禁止地区の指定,さらに命令に違反した者に1万円以下の過料を科すことを新たに規定したものです。
 私事ですが,私はこれまで喫煙の経験は一度もなく,たばこの煙で気分がすぐれなくなることがしばしばあります。また,我が子の幼少時,人通りの多い商店街で子どもの顔の高さで喫煙中のたばこを手にしている人と幾度となく遭遇し,歩行喫煙は迷惑であり,かつ大変危険だと思っていました。
 また,最近ではたばこに限らず,電車内で足を開いたり,投げ出しての座り方,ヘッドホーンから漏れる音や携帯電話の使用,路上でのベタ座りなど,眉をひそめたくなる迷惑行為や,一歩間違えば危険なことがたくさんあります。
 しかし,このような迷惑行為を全て法的な強制力を行使して規制することで,私たちの生活空間が快適になるのでしょうか。社会生活上の迷惑な行為を取り締まりで封じ込めるのではなく,基本的な教育の議論が必要なはずです。喫煙についても,子どもや大人も含めた健康教育や社会教育,自分や他者の尊重についての権利教育など,多様な観点からの早期教育にしっかりと取り組むべきです。
 さて,日本たばこ産業の200年調査によれば,喫煙者は1996年以降減少の一途をたどり,成人でたばこを吸う人の割合は29%になっています。さらに近年では喫煙を原因とする様々な疾病が明らかにされるのにコい,たばこを製造販売する企業の社会的責任も厳しく問われ始めています。また,喫煙による健康被害は受動喫煙による有害性も明らかになり,その被害を防止する努力義務を定めた健康増進法も2003年に施行されています。
 喫煙被害はもはや,喫煙者の自己決定,自己責任論だけで解決できる状況ではなくなっています。職場での喫煙についても,訴訟を通じて分煙化の流れを導き,係争中のものもあるそうです。
 いまや,交通機関でも,長距離列車の一部を除いて禁煙が原則になりつつあり,駅構内でも一定区域を除いて禁煙区画が拡大しています。1980年には新幹線16両編成中1車両しかなかった禁煙車が,2003年には11車両に増えています。
 こうした実情からすれば,迷惑だから「取り締まれ」と言うには,喫煙人口の減少や喫煙環境の厳しさの増加からすると,今や適切な手段なのか疑問が生じます。一部の迷惑者への見せしめというハもあるでしょうが,そのためにかけるコストや効果の点から合理性に欠けることになります。
 路上喫煙禁止で有名な千代田区では,このために2002年度は1億6千万円,2003年度は1億円,2004年度は8千万円,合計3億4千万円のコストをかけ,2002年11月から今年2月までの取り締まり件数は13,470件,罰金の徴収率は86%で2300万円だそうです。14%の方が徴収に応じていません。中野区は注意をしても応じない,すなわち千代田区の例で言えば,14%の悪質な人から過料を徴収しようとしていますが,一体どうやって徴収するのでしょうか。ちなみに千代田区の2005年度の予算は1億5千万円だそうです。
 中野区は過料を徴収する際には千代田区のように非常勤職員を雇うことを考えているようですが,千代田区の非常勤職員の人件費は2003年度,10人で360万円,2004年度12人で4300万円,2005年度は16人で5800万円だそうです。さらに超過勤務手当を支給されない管理職が全庁を挙げて,昼夜2人1組での8班体制で取り締まりに当たっているそうです。罰則を付けて徹底しようとすればするほど,摘発を逃れる人が出てきては効果がなくなり,不公平になるとの思いから取り締まりが強化されていく心理が表れています。
 そのうちに路上喫煙者は一人も逃さず過料を徴収するために,町中に監視カメラが設置され,終日監視され,画像により個人が特定され,過料が徴収されるところまで突き進むことが懸念されます。「取り締まってしまえ!」というストレートな感情が制度化されると,今後の暮らしや日本社会のあり方がますます息苦しいものになると,私は思います。
 マナーのルール化を進めてきた千代田区の担当者は,社会全体のモラルアップを目指して,ルールからマナーへ戻したいとおっしゃっていました。
 千代田区の取組みは,社会全体のモラルアップに貢献したと言ヲますが,取り締まるべきものではなく,やはりマナーなんだということに気づいたのだと思います。
 さて,中野区では路上喫煙禁止地区を指定していますが,そうではなく,区内全域で路上喫煙をしないよう呼びかけるべきです。さらに他人の身体の安全を理由とし,分煙化を図るとしながらも,歩行者の多い中野駅前で,分煙化が全く図れておらず,灰皿を設置するだけの対応には首をかしげるばかりです。
 マナー啓発はお金をかけずに全庁挙げて職員が取り組み,一切の煙が漏れない分煙化が図れる喫煙場所を設置すべきです。
 規則が社会的に信頼と納得の機会のないまま,「道徳」「正しいこと」は取り締まりという形で強制的に教え込むという姿勢は,一方で社会の多様な思考や精神を否定してしまいかねません。「迷惑なこと」に対し,一人の地域市民として考え関わり,知恵を出し合い協力しあう多様な社会的関係について,調整的な機能を豊富に持った社会の実現こそが,一人ひとりの人間にとって暮らしやすい社会であると考えます。
 この度の条例改正は,区民にとって暮らしやすい中野の実現からは遠のくばかりです。中野区はかつて教育の中野として全国に名を馳せました。禁煙,分煙の拡がりの現実フ中で,今後の公的空間での喫煙のあり方を今こそ教育として捉えるべきです。
 以上の理由から,マナーで注意すべき問題を条例によって取り締まる行き過ぎた条例改正に対する反対討論といたします。
中野区国民健康保険条例の一部を改正する条例

むとうは反対しました

 この条例改正は国民健康保険料率を改め,実質的には,低所得者に対する増額率が高くなるものです。例えば,年収200万円以下の3人世帯では5700円増額されます。昨今の厳しい経済,雇用情勢の中,低所得者に対する負担増は避けるべきと考え,むとうは反対しました。

教育委員会委員任命の同意

むとうは退席しました

 山田正興氏(52歳・医師)再任と飛鳥馬健次氏(63歳・元中学校校長)が任命されました。
 新たに要綱で定められた「教育委員にふさわしい人材推薦の仕組み」によって自薦・他薦により推薦された33人の中から飛鳥馬さんが選ばれました。しかし,このところ医師,元校長,弁護士という職席からの人選に固定化されている嫌いがあり,むとうは教育委員本人の資質に異議はありませんが,同意することにためらいがあり,退席しました。

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