区議会報告 No.75

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可決された主な議案より 6/15

●区立児童館条例の一部を改正する条例    

むとうは反対しました

 本条例は、今年度をもって、U18プラザ上高田及びU18プラザ中央を廃止するための条例改正です。
2010年に策定された「新しい中野をつくる10か年計画第2次」では、「児童館は、U18プラザ9館と、すべての小学校に設置するキッズ・プラザに再編する。U18プラザでは、乳幼児親子の交流促進、中高生が中心の創作・芸術活動やスポーツ活動、社会貢献活動の機会の提供を行い、乳幼児から中高生までを対象とした育成活動の充実を図る。」と定めていました。これを基に、U18プラザ上高田と中央が設置され、城山ふれあいの家でもU18プラザ事業が始まりましたが、9館の設置には至りませんでした。児童館は小学生までを対象として建築した建物であり、中高生には不向きな施設環境でしたが、職員のやる気と知恵と努力で中高生が気軽に立ち寄る場となり、地域住民の信頼を勝ち取り、今や、区民から必要とされている数少ない区の直営施設です。利用する中高生や現場の職員の意見も聞かずに廃止を決め、子ども施策をないがしろにした区の姿勢は理解できません。中高生を対象とする新たな施設設置を計画するのであれば、まだしも、ただ廃止するだけの条例には納得できず、むとうは反対しました。
*反対討論全文は下記に掲載 


       *区立児童館条例の一部を改正する条例反対討論全文

 第42号議案「中野区立児童館条例の一部を改正する条例」に反対の立場から討論をいたします。

本条例は、今年度3月31日をもって、U18プラザ上高田及びU18プラザ中央を廃止するための条例改正です。
 2010年3月に策定された新しい中野をつくる10か年計画第2次では、「現在ある児童館は、U18プラザ9館と、すべての小学校に設置するキッズ・プラザに再編していきます。U18プラザでは、乳幼児親子の交流促進、中高生が中心の創作・芸術活動やスポーツ活動、中高生ボランティアの養成や社会参画・社会貢献活動の機会の提供などを行うなど、乳幼児から中高生までを対象とした様々な育成活動の充実を図るとともに、各施設ごとに特徴のある取り組みを展開します。」と定めていました。これを基に、2010年4月にU18プラザ上高田が、2013年4月にU18プラザ中央が設置され、10月には城山ふれあいの家でもU18プラザ事業がはじまりました。計画では9館設置するはずでしたが、その後の設置は無く、3館にとどまっていました。
 全国に先駆けて、1997年に開設された、お隣、杉並区の中高生児童館「ゆう杉並」は、中高校生が文化や芸術、スポーツなど自主的な活動をし、活き活きと交流できる居場所として設置され、中高生による運営委員会が運営に携わるなど、お手本となる施設です。この「ゆう杉並」をモデルとし、全国的に中高生の居場所づくりが進められました。しかし、中野区は「ゆう杉並」をお手本とはせず、乳幼児から小学生を対象として建築された児童館の建物に、中高生対応の事業を入れ込みました。当初から、施設面でかなり無理があることは誰の目にも明らかでした。しかし、中高生にとって劣悪な施設環境や低予算の中で、職員のやる気と知恵と努力が実り、今や、中高生が足を運び、集う施設へと変貌を遂げました。
 ところが、昨年2016年4月に改定された新しい中野をつくる10か年計画第3次の中で、突然、U18プラザの廃止が示されました。正確には「U18プラザを廃止し、中高生の社会参加の支援については、地域とのつながりや社会貢献に向けた事業を、民間等を活用しながら実施していきます。」と、たった2行の記載です。「乳幼児親子の交流促進については、すこやか福祉センターやキッズ・プラザ、保育園、学童クラブ、商店街など身近な場所を活用して展開します。」との記載がありますが、中高生向けの新たな場所の提示はありません。中高生は日常的な活動の場や居場所を失うことになります。民間等を活用した事業に参加することが中高生にとっての社会参加だというのであれば、視野狭窄的な施策転換であると言わざるを得ません。
 また、10か年計画第3次の戦略8には「持続可能な行政運営戦略、区民とともに築く持続可能な区政」との言葉が並び、さらに展開1として「区民意思と合意に基づく施策決定」との言葉が、空虚に記載されています。
 これまで、U18プラザについては、区民から、廃止してほしいとの意見は全くなかったと言っても過言ではありません。第3次を策定する際に実施されたパブリックコメント手続きに寄せられた意見でも、「U18プラザは、乳幼児親子や小中高生の居場所や地域の見守りなど、地域のネットワークとしての機能を発揮している。廃止すべきではない。」「U18プラザは私達中高生にとって大切な施設の一つである。遊びや学習の場、小さな子から高校生まで幅広く接することができる場であり、安心できる場所である。イベントや企画があるからU18プラザに行く訳ではない。多くの利用者がいてにぎわっているのに、なぜなくすのか。」等、廃止に反対の意見ばかりです。しかし、区はパブコメに寄せられた区民の意見を計画に反映することはありませんでした。
 そもそもパブリックコメント手続きは、自治基本条例第14条で区民参加の手続として定めており、区民の多様な意見を広く求め、施策等に反映させることにより、手応えのある区民参加を実現するために実施されるはずでした。しかし、もはや、形式的には実施されますが、区自らが形骸化させています。パブコメにより変更された箇所は無いという結果だけを区は区民に突き付け、手ごたえどころか、何を言っても無駄との失望感だけを残す「のれんにうでおし」状況の区民参加となっています。
 さかのぼる事、2001年、青少年の健全なる育成を図るために、社会教育法に基づき設置されていた、南部青年館と野方青年館が廃止されました。かつてそこでは、青少年が盛んに創作・芸術活動をおこなっていました。この時も、廃止反対の区民の声を聞き入れず、中野区は財政難を理由に、青年館の役割は終わったと都合の良い判断を示し廃止しました。言い訳的に、ゼロ西館入り口脇ロビーに机だけが置かれている青少年コーナーがあります。私は、中高生から青年層を対象とする施設の必要性を何度となく議会で質疑しましたが、今でも必要な施設だと考えます。
 昨年夏の暑い日に、U18プラザ上高田では、第5中学校の美術部の生徒たちが、建物に壁画を描いていました。皆さん、一所懸命であり、楽しそうでした。U18プラザは、不向きな施設環境の中で、職員は精一杯、中高生のニーズに応え、気軽に立ち寄る場となり、中高生だけではなく地域住民の信頼を勝ち取り、今や、区民にとって必要とされている数少ない区の直営施設です。
 利用する中高生や現場の職員の意見も聞かずに廃止を決め、子ども施策をないがしろにした区の姿勢は、理解しがたいものです。
 U18プラザを廃止し、中高生を対象とする新たな施設設置を計画するのであれば、まだ理解できますが、ただ廃止するだけの条例には賛成できません。

 以上をもって、第42号議案「中野区立児童館条例の一部を改正する条例」に反対の討論といたします。


●区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例    

 本条例は、区長と副区長の2か月分の給料月額を1割減給(総額44万9960円)するための条例改正です。
 これは、区が提起した旧桃丘小学校の土地建物明渡等請求事件(下記注参照)が、和解で解決しましたが、一定期間、契約相手方(学校法人タイケン学園)が債務不履行状態に至ったため、行政運営上の責任をとっての減給です。しかし区長の責任と訴訟等の経費(6697万円)を鑑みると、減給金額が低すぎると考え、むとうは反対しました。


        注 旧桃丘小学校に係る土地建物明渡等請求事件とは

 2010年、区は廃校となった旧桃丘小学校(中野3丁目)の跡地活用について、演劇、ダンス、お笑い、まんが・アニメ制作、音楽活動など、若い世代の表現活動者が育つ場とするとの方針の下に、公募型プロポーザル方式で事業者募集を行いました。その結果、タイケン学園と2011年9月から5年間の、事業に係る基本協定書を締結した上で、賃貸借契約を締結しました。当時、タイケン学園は他自治体でのトラブルがあり、区が求める表現活動者育成の実績が無く、心配の声が議会からも上がっていました。結局、基本協定書にある基幹的事業7つのうち2つしか実施されませんでした。さらに、賃貸借契約において土地建物の無断転貸は禁止されていたにもかかわらず、タイケン学園が区の承認を得ずに他の法人等に転貸していたことから、2016年8月19日をもって区は、契約を解除しました。しかし、明け渡さず占有を続けたため、明渡し並びに明渡し済みまでの占有に係る賃料額の損害金の支払いを求める訴えを2016年10月に提起し、2017年4月に和解しました。公開が原則の議会で、この一連の議案は、異例の秘密会で議決されました。
 区が管理監督責任を果たさなかったこと、また、貸付期間を5年間と定めていたにもかかわらず、定期賃貸借契約とせず普通賃貸借契約としたことは、区の大きなミスです。これにより、訴訟等の多額の経費(6697万円)が税金から支出されました。

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