区議会報告  No.76

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時雨(しぐれ)
 心濡らして憂う世を





 東京は10月中旬、79年ぶりの寒さに見舞われ、秋雨に続く台風、冬へと季節の流れを感じる昨今です。

 さて、台風が日本列島を直撃する中、衆議院選挙が行われました。安倍一強の変化を求める民意は届かず、自民・公明連立与党に憲法改正の発議ができる3分の2を超える議席を許す結果となりました。
 私の好きな作家であるヘミングウェイは「いかに必要であろうと、いかに正当化できようとも、戦争が犯罪だということを忘れてはいけない」という言葉を残しています。また、かのニーチェは「忘却はよりよき前進を生む」と言いました。偉大な哲学者を恐れず言えば、政治の場においては、「忘却」が「前進を生む」とは考えられません。「忘れることは許すこと」を意味し、国民を(ないがし)ろにした安倍政治を有権者は忘れてはならないと思います。また、「忘却は、人間の救いである」との太宰治の言葉に共感するものの、「忘却の早さと、何事も重大視しない情感の浅さこそ人間の最初の老いの兆しだ」と言う三島由紀夫の言葉がしっくりと心に沁みます。日本の未来は果たして、前進するのやら、老いの兆しなのやら……。秋の夜長に「忘却」とはと、考える日々です。

むとう有子


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