2019年度中野区一般会計補正予算 反対討論 全文
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ただ今上程されました「第41号議案 2019年度中野区一般会計補正予算」について、反対の立場から討論をいたします。
この度の補正予算は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ、7億3千62万円を追加し、1531億8848万7千円とするものです。
私は、そもそも消費税そのものに疑問を持っています。赤字でも納税しなければならない中小企業がある一方、輸出還付金がもらえる大企業があるなど、極めて不公平な税制だからです。この度の補正予算の中には、目先の恩恵で消費者の反対意見を封じるような消費税率引き上げに伴うプレミアム付き商品券発行のための経費増額や、未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時給付金が含まれています。さらに私は、保育士の処遇改善が進まない中での保育士不足、痛ましい乳幼児の死亡事故が後を絶たない保育の質という課題、待機児童対策など、幼児教育の無償化以前にやるべきことがあるのではないかという疑問も持っていますが、補正予算には幼児教育の無償化に伴うシステムの改修経費増額などが含まれています。これらは、自治体としては実施しなければならないことであり、課題があるにせよ、少しでも区民に税金が還元され、区民サービスの向上につながると考えられるため、賛成せざるを得ない補正内容も含まれています。よって、賛否については大変悩ましい判断を迫られております。
しかし、平和の森公園を利用する、多くの区民が望まない300メートルトラック等を設置するという元の計画に戻すことにつながる平和の森公園再整備事業費、1億2885万5千円が含まれていることは看過できません。
酒井区長の公式サイトを見てみると、選挙時の政策が今でも載っています。そこには、「平和の森公園第二期工事で予定されている300メートルトラックは、不要です。草地広場を残します。」と、明記されています。選挙当時、「300メートルトラックはいらない、このままの草地広場を残してほしい」と願う多くの区民が、酒井区長のこの政策に賛同し、期待し、一票を投じたことは紛れもない事実です。
そして当選した酒井区長は、2018年10月、「平和の森公園再整備を語る会」や意見募集を実施し、11月、意見を反映した再整備第二工区変更案を発表し、区民説明会を経て、2019年第1回定例会で、300メートルトラック等の見直しに伴う「平和の森公園再整備工事請負契約金額の変更議案」を議会に提案されました。これで公約が実現し、300メートルトラックはなくなり、草地広場が残るのだと多くの区民が喜びました。
しかし、大変残念なことに、民意と議会の判断には大きな隔たりがあり、工事請負契約金額の変更議案は賛成少数で否決となりました。区のホームページには、3月18日、「今後の平和の森公園再整備については、この議決を受け、当初の再整備計画案に沿って整備を進めることとなります。」との区長のコメントが載っています。区長は第1回定例会での議会の判断を重く受け止められ、300メートルトラック不要とする新たな計画を取りやめ、体育館建設の竣工時期に支障の無いよう、300メートルトラック等を造る元の計画に戻しました。
選挙公約の全てを実現するのは不可能であり、状況を踏まえて考え方を変えることはあり得ると理解していますが、第1回定例会の予算総括質疑で、私は、「選挙の時に掲げた政策は忠実に実行し、お考えが変わった時には誠実にその理由を説明し、貴重な税金を1円たりとも無駄にしないとの信念をお持ちいただくこと」をお願いしました。第1回定例会と第2回定例会の間には、体育館建設の竣工時期に支障の無いような方策を検討する時間は十分あったと思いますが、検討のプロセスが全く見えません。
公約を変更するのは大変重い責任が伴うことだと私は考えます。万策尽きたというのであれば、公の場で詳しい説明をするべきです。また、改選後の新たな議会では、違った議論の可能性もありえたと思えるのに、十分な検討の場もなく、区民への説明もなしに元の計画に戻されたのです。何としても公約を守る、との区長の信念が感じられません。単なる選挙目当ての公約だったのではないか、あるいは「300メートルトラックがあったらあったで、区民は利用するだろう」という安易な考え方があるのではないかと思えてなりません。
以上、簡単ではありますが、区民の意見の代弁者の一人として、平和の森公園を利用する多くの区民が望まない300メートルトラック等を設置する元の計画に戻すことにつながる平和の森公園再整備事業費を含む、「第41号議案2019年度中野区一般会計補正予算」についての反対討論といたします。
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