区議会報告 No.86

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むとう有子の予算総括質疑より(2020年度予算について) 2/28


●全ての公衆トイレにトイレットペーパーの設置を

むとう


 2011年から、公園等の全ての公衆トイレにトイレットペーパーの設置を求めて再三再四質疑をしたが、新設の大規模公園を除くと未だに実現できていない。ペーパー設置個所数は。

公園緑地課長

 111か所のうち、26か所に設置。

むとう

 設置していない85か所に設置すべきだが、費用はいくらか。

公園緑地課長

 約760万円。

むとう

 一体いつになったら、全ての公衆トイレにペーパー設置ができるのか。

公園緑地課長

 策定中の公園再整備計画の中でペーパー設置を検討していきたい。

●プラスチック焼却を見直し、全区で資源化を

むとう


 23区共有の清掃工場を運営する東京23区清掃一部事務組合への分担金が前年度より約1億円の増額。耐用年数を迎える15工場の建て替え経費が今後も増加する見込み。
 2008年度からプラスチックを不燃から可燃ごみに変更。焼却は地球温暖化対策に逆行するだけでなく、プラ焼却で燃焼温度が上昇し、ボイラー水管の破損等、設備機器の腐食が早くなり、設計上の焼却量が達成できない状況が続いている。
 中野区では、3億9千万円の予算で容器包装リサイクル法に基づくプラの資源回収を実施。資源化は各区判断のためプラの資源回収をしていない区もあり、清掃工場に搬入する可燃ごみ質に差異がある。
 東京都はプラ焼却削減方針を出し、資源化を推進。@プラ焼却の見直しAプラの資源化とごみ質の均一化Bごみ量に応じた分担金算出方法に焼却効率の悪化を招くプラごみ混入率等ごみ質を考慮した分担金算出方法。を区長会に提案するべきでは。

区長

 清掃主管部長会で検討し、結果を踏まえ対応したい。

むとう

 2018年度清掃工場常時搬入物検査で、中野区の不適正ごみ搬入率は38.7%で、23区中ワースト7位。区の見解は。

清掃事務所長  重く受け止め、さらなる適正搬入に努めたい。
むとう   2018年度から本格実施した「陶器・ガラス・金属ごみ」の資源化は1億5千万円の予算。先日、資源化を委託している要興業を見学した。不適切な廃プラや生ごみが混入していた。スケルトン車購入をきっかけに出前講座を強化し、適正排出啓発に人材を投入するべきでは。
清掃事務所長   環境学習開催回数を増やすなど工夫したい。
むとう   23区が協働した廃プラ焼却減量で、新設炉建設費や改修費の減額ができると考える。分別指導や災害に備え、清掃職員の採用を求める。
   
2020年度 一般会計予算 3/9

むとうは反対しました
  過去最高額の前年度に次ぐ2位の予算額約1468億円。コロナ感染による経済的大打撃の中、今後5年間で学校施設の更新、新区役所建設、中野駅周辺まちづくり等の投資的事業に年3百億円が必要となる大財政負担時期突入にもかかわらず、職員が策定すべき計画の業務委託や不必要な調査委託、方針と矛盾する地域開放型学校図書館整備費等精査が不十分な事業に納得できず、むとうは反対しました
 なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

  2020年度予算
一般会計 1,468億2,300万円
国民健康保険会計 327億7,700万円
後期高齢者医療会計 72億3,700万円
介護保険会計 239億8,700万円

「2020年度中野区一般会計予算」反対討論 全文

 ただ今、上程されました第6号議案「2020年度中野区一般会計予算」について、反対の立場から討論をいたします。
 2020年度一般会計予算額は、1,468億2,300万円で、前年度と比べ53億4900万円の減となっています。とはいえ、前年度は、酒井区長の初の予算で、大判振る舞いの感が否めない予算となり、過去最高額でした。この前年度と比較して減とはなりましたが、過去2位の予算額です。
 今後の経済状況は、海外経済が不確実な状況にあることなどから、楽観視できる状況にはなく、歳入の変動について最大限注視していく必要があるとの、区の認識が示されていますが、果たして不確実な状況にあるのは海外経済だけでしょうか。
 すでに、新型コロナウイルスの感染拡大が、暮らしや景気に幅広い影響を及ぼし始めています。政府はイベントの自粛に続いて学校の休校を求め、国内消費や経済活動への先行き警戒感が高まり、消費税増税の影響もあり、2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災を超える経済的打撃の可能性を示唆する報道を目にします。
 先行き不確実な中、当初予算案の概要には、「今後5年間で、学校施設の更新、新区役所建設、中野駅周辺まちづくりなどの投資的事業に、年200億円から300億円程度が必要となり、財政負担の大きな時期になります」との記載や、「今後の財政運営手法については、これまでの手法を検証し、新しい基本計画で考え方を明らかにしたいと考えています。」との記載があります。
 区長に残された任期は間もなくあと2年となります。「したい」という願望を言っている時間は無く、「考え方を明らかにします」と言い切ってほしいものです。
 また、区長がおっしゃるように、限られた区の資源を最大限に活用していく区政運営が求められています。区役所における資源とは、職員の皆様の能力だと私は思います。職員の皆様の能力を最大限に活用していく区政運営をするべきであり、安易で他力本願的な外部人材の登用はするべきではないと考えます。
 2020年度の職員数は1980人ですが、それ以外に、再任用短時間勤務職員と任期付短時間勤務職員、会計年度任用職員がなんと1698人にのぼる予定です。つまり、職員が不足していることを表している数字です。
 職員定数条例で定める2000人が実態に即しておらず、職員定数条例を改定して、必要な職員を採用し、資源を豊かにするべきです。
 難解な公務員試験に合格して採用された職員の皆様の潜在能力を引き出すことが管理職の役割です。実務をこなさなければ能力を引き出すことはできません。
 2020年度に策定予定の基本計画1008万円、施設配置計画1050万円、地球温暖化対策実行計画304万円、災害廃棄物処理計画423万円、一般廃棄物処理基本計画改定621万円、景観ガイドライン1144万円、公園再整備計画1700万円、都市計画マスタープラン改定931万円、地域防災計画修正595万円等は業務委託などせず、職員自らが策定するべきものです。
 かつては職員が策定していたと聞きます。一業者がいくつもの自治体の同じような計画策定の業務を受託する状況下で、どの区も似たり寄ったりの独自性のない計画が策定されているようです。
 また、これまでも様々同じような調査をし、その結果がどの事業に結びついているのか全く見えない中、次年度も、区内事業所の状況調査272万円、子ども施設の利用者ニーズ調査409万円、健康福祉意識・意向調査626万円、高齢者見守り体制の調査880万円等、様々な委託調査がなされます。本当に必要な調査なのでしょうか。
 調査をしなくても、現場の職員が分かっていることもあるのではないでしょうか。調査するだけではなく、調査結果を事業実施に結びつけなければ、税金の無駄使いです。
 さて、私が所属する子ども文教分科会分担分の中に、地域開放型学校図書館整備(新規)に3353万円の予算が計上されています。
 子ども文教委員会では、「今後の図書館サービスのあり方検討会」の検討結果の報告がないまま、1月23日に、地域開放型学校図書館について、絵本・児童書・一般図書を含む5000冊の蔵書数と貸し出しを行う区立図書館分館から一般図書をなくして、絵本と児童書のみの2000冊で貸し出しのない学校図書館への見直し案が報告されました。
 このことは「新しい中野をつくる10か年計画第3次」や「教育ビジョン第3次」に定められている地域開放型学校図書館を逸脱する変更であり、驚きました。
 さらにあきれたことに、わずか12日後の2月4日の委員会では、見直し案が撤回され、一般図書を含む蔵書の貸し出しを行う元の当初案に戻りました。見直したり戻したりと、このような朝令暮改な区政運営には疑問があります。
 その上あろうことか、この予算は、撤回された見直し案に基づく予算とのことです。時間的に、当初案に基づく予算に変更することができず、予算可決後に補正予算が出されるとのことです。
 すると第6号議案を可決することは、幻となった見直し案を可決することになります。私は、地域開放型学校図書館には反対ですが、このように矛盾したままの予算を可決することに疑問を持つのは私だけでしょうか。
 酒井区長の初予算であった2019年度予算には賛成し、この一年間の区政運営を私なりに、チェックさせていただきました。区政運営のスピード感に違和感があり、降ってわいたような新事業があるかと思えば、前区長の下で策定された計画の刷新が進まず、矛盾が生じた事業が出てきています。
 「議会と行政は車の両輪」というフレーズをよく耳にします。この意味は、車は、両輪が同じ方向に動かないと前に進まないように、議会と行政が同じ方向に進むことがベストなあり方だという例えだと考えます。
 しかし、一つ間違えれば、坂道を猛スピードで転げ落ちることになるかもしれません。私は、行政はアクセルで、議会はブレーキであり、スピードをコントロールする役割だと考えます。その意味からも、自民党さんと公明党さんから提出された修正案は意義があり、取り下げられたことは残念です。
 また、俗に言うお友だち政治は国政だけの問題ではありません。区政においてもお友だち政治と疑われてしまうような事業があってはならないと考えます。
 区長がおっしゃるように、10年先を正確に見通せる人はいません。だからこそ、最悪な経済状況を念頭に置き、限られた予算の中で、今やらねばならない事業の精査が重要です。もちろん評価する事業もありますが、精査が不十分な事業が散見されます。
 中野駅新北口駅前エリア再整備については、客観的な論拠となる不動産鑑定評価をせずに「定期借地権方式」を否定し、「権利変換方式」による開発を押し進めて行くことにも納得できません。区民の財産の損失が無いよう願うばかりです。
 以上、雑駁ではありますが、第6号議案「2020年度中野区一般会計予算」に対する反対の討論といたします。

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