区議会報告 No.86

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可決された主な議案より 3/23

むとうも賛成しました

●男女共同参画・多文化共生推進審議会条例
 男女共同参画とは、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思であらゆる分野で活動に参画する機会が確保され、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受すること。多文化共生とは、国籍や民族等の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築き、地域社会の構成員として共に生きていくこと。
 この大きな2つの課題を一つにすることに違和感がありますが、審議会を設置し、公募区民と学識経験者との活発な議論に期待し、むとうも賛成しました

●犯罪被害者等支援条例
 決して他人事ではなく、誰もが犯罪被害者になる可能性があります。犯罪被害者を支援する施策を総合的に推進するための基本理念、区の責務、施策の実施を定める必要な条例と考え、むとうも賛成しました
犯罪被害者等相談支援窓口
区役所6階7番窓口福祉推進課
TEL 03‐3228‐5713

●手話言語条例
 条例制定を求める請願の2019年3月採択を踏まえた条例です。
 聴覚障がい者の意思疎通手段として手話が言語であるとの理解を促進し、手話を使用する人に社会的障壁がない地域社会の実現に必要な条例と考え、むとうも賛成しました

●障がい者の多様な意思疎通の促進に関する条例
  障がい者が障がいの特性に応じた意思疎通手段を適切に選択でき、障がいの有無によって分け隔てなく、人格が尊重され安心して暮らせる地域社会の実現に必要な条例と考え、むとうも賛成しました

●選挙管理委員・補充員 各4人の選挙結果 2/13
 選挙管理委員(報酬月額25万4千円)は、選挙権を有し人格が高潔で政治及び選挙に関し公正な見識の有る方を中野区議会議員が選挙で選びます。これまでほぼ9割が男性で元区議会議員でした。
 今回むとうが推す女性の一市民(加藤洋子氏)を無所属議員6人と育緑会派2人の賛同で選出することができました。他の3人の委員は男性で自民・民主・公明党の元議員。補充員(無給)は一市民と、自民・民主・公明党の元議員が選出されました。女性市民委員に期待!

むとうは反対しました
●区議会議員、区長・副区長・教育長の期末手当を増額する条例改正
 議員報酬月額は据え置き。区長・副区長・教育長の給料月額は減額。いずれも期末手当の年間支給月数が0.15か月分の増額となり、年収は増額。増額の必要はないと考え、むとうは反対しました

●家庭的保育事業等の連携施設の確保、調理設備と調理員について経過措置を5年延長し10年とする条例改正
 家庭的保育事業等とは、0歳から2歳の待機児童対策の位置づけ。保育終了後の満3歳児以上の保育継続先連携施設確保も、自園調理体制の調理設備と調理員の配置も、食事提供の特例で連携施設等からの搬入もでき、現行の5年内に達成可能なため、国に準じて延長の必要はないと考え、むとうは反対しました
*反対討論全文を下に掲載しています。

●幼児教育・保育の無償化に伴い、副食費(おかずやおやつ)を保護者から受けることができる費用とする等の条例改正
 中野区は給食費も無償化実施。待機児童対策や保育士給与改善が進まない中、所得制限無しの一律無償化に疑義があり、むとうは反対しました
*反対討論全文を下に掲載しています。


「中野区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」反対討論 全文  

 ただ今、上程されました、第31号議案「中野区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」について、反対の立場から討論をいたします。
 本条例の改正は、国の「家庭的保育事業等の設備及び運営基準の改正」に伴い、条例の一部を改正するものです。
 しかし、3月12日の子ども文教委員会で審議された、中野区における家庭的保育事業等の現状を踏まえると、条例を改正する必要は無いと私は判断しました。
 全国の自治体の中には、今年度3月31日で終了する経過措置期間内に連携施設を確保できない家庭的保育事業者等が存在するため、国はさらに5年延長して、経過措置期間を10年に改正しましたが、中野区においてはほぼ対応が整っていること、今後、家庭的保育事業等を増やす予定はないとのことからも、延長する必要はありません。
 それなのに国の基準改正にただ追随することは、憲法92条で保障する地方自治体の本旨に反するのではないでしょうか。
 さて、第31号議案、家庭的保育事業等とは、2012年度に成立した子ども・子育て関連3法において、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業及び事業所内保育事業の4事業のことです。この4事業は、市区町村認可事業と位置づけられ、地域型保育給付の対象とされています。
 家庭的保育事業等は、大都市部においては0歳から2歳の待機児童対策、児童人口減少地域においては保育基盤維持など、地域における多様な保育ニーズにきめ細かく対応し、多様な主体が多様なスペースを活用して、乳幼児の健やかな成長を支援するものであり、市区町村が認可する以上、区の責任は重大であり、質の高い保育を提供するものでなければなりません。
 本条例の第6条では、「居宅訪問型保育事業者を除く家庭的保育事業者等は、利用乳幼児に対する保育が適正かつ確実に行われ、及び家庭的保育事業者等による保育の提供の終了後も満3歳以上の児童に対し、必要な教育又は保育が継続的に提供されるよう次に掲げる事項に係る連携協力を行う認定こども園、幼稚園、保育所を連携施設として適切に確保しなければならない。」としており、連携協力事項としては、

① 利用乳幼児に集団保育を体験させるための機会の設定、保育の適切な提供に必要な家庭的保育事業者等に対する相談及び助言その他の保育の内容に関する支援を行うこと。
② 家庭的保育事業所等の職員の病気、休暇等により保育を提供することができない場合に当該家庭的保育事業者等に代わって、必要に応じての代替保育を提供すること。
③ 当該家庭的保育事業者等により保育の提供を受けていた利用乳幼児を当該保育の提供の終了に際して、当該利用乳幼児に係る保護者の希望に基づき引き続き当該連携施設において受け入れて教育又は保育を提供すること。

と、規定されています。このように、連携施設を確保することは、家庭的保育事業等の保育の質の向上、及び安定した運営に欠かせない重要要件です。
 しかし、連携施設の確保が著しく困難であって、中野区が認めた場合は、5年を経過する日までの間、連携施設の確保を猶予できるとの経過措置が、附則の第3項で規定されていました。これを今回の改正で5年延長し、10年とするものです。
 中野区においては、3月12日現在、3事業所が、連携施設との協議は整っているが、最終的な協定書を交わすことが完了していない状況とのことです。最終の協定書面を交わすだけのために5年も延長する必要は無く、3月31日までに完了させれば済むことです。
 また、本条例の第15条には、「家庭的保育事業者等は、利用乳幼児に食事を提供するときは、家庭的保育事業所等内で調理する方法と、当該家庭的保育事業所等の調理設備又は調理室を兼ねている他の施設の調理室において調理する方法により行わなければならない。」と規定されています。
 さらに附則の第2項で、自園調理を行っていない事業者が自園調理体制を整える前提で、5年を経過する日までの間は、調理設備の設置と、調理員の配置を猶予できるとの経過措置が規定されていました。これも今回の改正で5年延長し、10年とするものです。
 さらに、食事の提供の特例として、第16条で「連携施設等規定する搬入施設において調理し、家庭的保育事業所等に搬入する方法により行うことができる。」ことにもなっています。
 中野区においては、自園調理と連携施設からの搬入により、給食の提供はすでにできています。よって、該当する家庭的保育事業所等は無く、これも経過措置期間を5年延長する必要は全くありません。
 本条例の主な改正内容である、連携施設の確保と調理設備及び調理員については、当初の5年間という経過措置期間内に、中野区の担当職員の皆様のご努力で、ほぼ達成されていることに敬意を表するとともに、現行条例に則りできている現状を踏まえれば、5年延長し10年とする条例の改正の必要性を見出すことが、私にはできません。
 憲法第94条で、地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができるとの規定を生かして、中野区の現状と乖離する条例改正は不必要と考えます。
 以上、第31号議案「中野区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」についての反対討論といたします。

「中野区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例」反対討論 全文  

 ただ今、上程されました、第32号議案「中野区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例」について、反対の立場から討論をいたします。
 本条例の改正は、幼児教育・保育の無償化に伴う国の「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準」の改正に伴い、条例の一部を改正するものです。
 昨年10月から、子育て世帯の負担軽減により出生率が上がることを期待して、幼児教育・保育の無償化が開始されました。無償化は消費税増税による増収分の一部を財源に活用し、2019年度は半年分として予算額3882億円を計上していましたが、開始早々、不足が生じ、約493億円の補正予算が組まれ、年間ベースでの事業費は当初、国と地方を合わせて7800億円規模を想定していましたが、上振れする見通しとなっています。
 残念ながら、給食費は無償化の対象となっておらず、それまで保育料に含める形で徴収されていたおかずにあたる副食費は、実費徴収となりました。
 もちろん、生活保護世帯などの低所得世帯については減免措置が取られています。
 国の制度上の給食費の1か月の単価は、保育所の場合、ご飯やパンなどの主食費が3000円、おかずやおやつなどの副食費が4500円に設定されています。
 それに伴い、食事の提供に要する費用のうち、「副食費について施設が保護者から受け取ることができる費用」に改正することが、主な条例改正の内容です。
 加えて、先ほど私が反対討論をいたしました第31号議案の改正内容も含まれています。
 23区内では、中野区を含む18区が、一般財源で副食費4500円を支出し、給食費を含めた無償化を実施しています。ちなみに中野区が負担する副食費は年間で約1億円とのことです。
 子育て世帯には当然、無償化を歓迎する声が多数あると思いますし、すでに開始されている制度であり、今更感があることは重々承知していますが、子ども施策の優先順位がこれで良いのかという疑問が残ります。
 幼稚園と認可保育所の1か月の利用料は、すでに所得に応じた負担が設定されており、応能負担となっていました。さらに、兄弟姉妹で複数の子どもが通っている世帯や、低所得世帯への軽減策も実施されていました。
 この状況下で一律に無償化すれば、高額所得者ほど恩恵を受けることになり、税金の投入のあり方として、大きな疑問です。
 また、入りたくても入れない待機児童が多数います。大多数の方が認可保育所を希望しますが、入園できず、やむを得ず、質の確保がなされていない認可外の保育所に通う子どもも大勢います。それでもなお、待機児童が出てしまいます。
 つまり、無償化されても、利用できる施設がなければ意味がなく、入園できず職場復帰もできず、無償化の恩恵を受けられない方がいらっしゃることになります。
 また、保育士不足で開園できない施設もあり、保育の質にも大いに影響する保育士の処遇の改善に税金を投入するべきだと考えます。特に、保育委託経費の流用を認める規制緩和や、保育士の配置や面積の基準の緩和など、保育の質より利潤追求に加担する国の姿勢に怒りを覚えています。
 さらに、認可外施設での死亡事故発生率が高い中で、保育士の配置が、厚生労働省が定めた基準以下の認可外施設も、5年間は無償化されます。保育士数や保育計画が基準を満たさない施設で子どもの人数が増えれば、目が行き届かなくなる恐れは増すばかりです。
 基準を満たさない施設も対象とする今回の「無償化」は、保育士が一人も配置されなくてもよいなど劣悪な施設も国が容認するものとなっており、大問題です。5年間は質についての条件すらなく無償化され、あきらかに質の低下を招くと言わざるを得ません。
 加えて、企業主導型保育所も無償化の対象ですが、運営基準がゆるく、書類審査のみで認可され、区が立入検査もできません。保育の質を確保できよう、基準を満たすきちんとした施設の整備をはかることや、基準を満たさない場合の閉鎖命令などを含む厳しい対策を盛り込んだ法整備が必要だと考えます。
 お隣の韓国では、2013年から0~5歳の子どもの保育と幼児教育をすべて無償化しました。韓国では、質の担保のための監査制度がしっかり作られており、無償化と同時に質の確保もはかられているそうです。日本のようにどんな施設でも無償化する、といった、ある意味、野放図な状態での無償化ではないようです。
 アメリカ、イギリス、フランス、フィンランドなどでも、幼児教育の無償化が進んでいるようですが、そのために、教育や保育の質に関する調査を行い、どのような教育や保育を提供すれば、子どもたちが必要な能力を高めることができるのかを研究し、質を評価するための統一の基準をつくり、施設ごとの評価を「見える化」し、政策効果を高める仕組みをつくった上で、無償化を進めていると聞きます。
 これに対して、日本は、保育士の配置や施設面積などのハード面を引き下げる話ばかりで、ビジョンや評価の仕組み等の検討は進んでいないと言えます。
 巨額の税金を投じて無償化するのであれば、子どもたちが受ける教育や保育の内容と質を高めなければ意味がありません。急速な少子化を考えれば、子どもや子育て世帯への支援に思い切った政策投資は必要ですが、年間8000億円の効果的な使い方として、今回の一律無償化は理解できません。
 また、私立保育所にかかる経費は、従来通り国1/2、都1/4、区1/4ですが、公立保育所、公立幼稚園、公立認定こども園については、10/10全てが区の負担になります。国の制度としての「無償化」ですので、財政的にも国がしっかり支払うべきだと考えます。
 この条例改正は、区としてはせざるを得ないことは理解しますが、国の制度としての幼児教育・保育の無償化に疑義があり、賛成いたしかねます。
 以上、雑駁ではありますが、第32号議案「中野区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例」について、反対の討論といたします。

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