区議会報告  No.88

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 2019年度一般会計歳入歳出決算 10/1
むとうは反対しました

 歳入歳出総額は、酒井区長初の予算だったこともあり、大盤振る舞いの過去最高額。区民が要望しても予算化されない事業が多くある中、予算化した事業は有効に実施するべきだが、執行率90.8%と前年度を下回り、不用額が68億円と前年度より4億円の増。不用額の主な要因は契約落差と事業未執行。契約落差は積算見積もりの精度の低さを表している。

 前区長が行った退職不補充による職員2千人体制で職員が不足し、不均等な年齢構成になり、綿密な仕事ができないと推測する。見積もり精度を高め契約落差の金額を縮小し、根拠に基づく予算編成で、教育や福祉予算を手厚くすることも可能だ。

 安易な予算化による事業未執行には納得できず、むとうは反対しました
 なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

2019年度一般会計歳出決算額
歳入総額 1,499億1,306万0,705円
歳出総額 1,416億1,710万2,067円
差引残額   82億9,595万8,638円


 2019年度一般会計歳入歳出決算 反対討論全文
 ただ今上程されました「認定第1号2019年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について」反対の立場から討論をいたします。

 2019年度予算は、酒井区長初の予算だったこともあり、大盤振る舞いの過去最高額となり、懸念もありました。財政指標による分析では、実質収支比率や経常収支比率などが前年より悪化し、「区財政の健全性に懸念を生じさせる兆しがみられる」という監査委員からの指摘もありました。

 過去最高額の予算といえども、限られた予算であり、区民の皆様から頂く税金ですから、区民の要望があっても予算化されない事業も多くある中、予算化された事業は、有効に実施するべきと考えます。執行率90.8%と前年度の93.2%を下回り、不用額が68億8,335万円と前年度より、4億520万円増えてしまいました。不用額の主な要因は相変わらずの契約落差と事業未執行によるものです。

 契約落差の金額が大きいということは、積算見積もりの精度の低さを表しています。予算化する際に積算見積もりの精度を上げる必要があります。不用額が68億円もあれば、小中学校1校の新築も可能であり、公園遊具の充実、図書館の図書の充実、生活困窮世帯や中小零細企業への支援の拡充等、様々な取り組みができたのではないでしょうか。

 決算総括質疑で触れましたが、日本で認知症高齢者は年々増加しており、2025年には730万人、高齢者の5人に1人が認知症と予測される中、その介護力を高めるための認知症講演会事業が、事前調査の甘さから未執行となりました。さらに、新規事業で力を入れるべきであった認知症高齢者等個人賠償責任保険事業が、担当課の力不足で登録申請受付開始が年度末となってしまい、実績はたったの17人でした。

 これ以外にも、他の議員から指摘があったように、予算化したにもかかわらず、未執行の事業が多数あります。未執行の理由は様々あるとは思いますが、ますますこれから必要となる業務改善のための評価改善研修の未執行、さらにますますこれから必要となるICT技術習得のための民間派遣研修受講料の未執行、また高齢者社会突入でますますこれから必要となる地域密着型サービス等事業所施設整備補助金の未執行、生きにくい社会の中でますますこれから必要となる精神障がい者訪問看護事業委託の未執行等は、力を注いで実施するべきだったと考えます。もちろん災害や事故に備えた事業もあり、執行せずに済んで良かったと言える事業もあります。

 区民や私むとうが要望してもなかなか予算化されず、予算化されるまでに10年もかかった区立保育園での使用済み紙おむつの処理費等がある一方、区の内部で充分な検討もないまま予算化し、未執行で終わる事業が多々あることが大変残念です。積算見積もりの精度を高め契約落差の金額を縮小し、根拠に基づく予算編成を行い、予算化した事業はしっかりやり遂げて未執行事業を減らし、予算編成過程から不用額を最小限に抑える努力をしていただきたいと願います。

 また、区長の任期は折り返し地点を超えましたが、基本構想の改定時期が2021年3月に、基本計画の策定時期も2021年8月に変更され、様々な個別計画に矛盾をきたしています。また、子どもたちが毎日学ぶ、桃園第2小や本郷小学校の建て替えのための、2校分で約85億円を延期する一方、区役所の建て替え約213億円は予定通りに進めるという、このような区政運営に大いなる疑問を抱いています。

 予期せぬコロナ感染拡大による社会経済への影響が猛スピードで襲い、区長は行政報告の中で、「財政的な非常事態」との認識を示されました。2021年度の一般財源は、2020年度当初と比較して92億円の減収を見込む中でも、区長自らができる区長車廃止などのお考えがまったくないことも分かりました。

 2019年度決算そのものには不正も瑕疵も見当たりませんが、堅実な予算化ではなかったと思われる事業が多く、予算編成過程にある2021年度予算が堅実で無駄のない予算となるよう、期待を込めて、以上、雑駁ではありますが、「認定第1号2019年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定」に対する反対の討論といたします。

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