区議会報告 No.90

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 むとう有子の予算総括質疑より
(2021年度予算について) 3/2



●予算編成方針に反する予算
むとう

昨年9月に区長が各部長に出した予算編成方針には、@一般財源は、今年度より約92億円の減収見込み。A財政調整基金は取り崩しを前提とせず、真に必要なサービスの実施に基金活用を図る。さらに企画部長がB20%削減した要求限度額を通知。
実際には、72億円の減収だが、予算額は前年度より約4億円増の約1472億円。財政調整基金から69億円を繰り入れた高額予算。Bは9%しか削減できなかった。この予算は編成方針を踏まえ持続可能な区政運営になり得るのか。

区長

方針を踏まえた予算で、持続可能な区政運営を行うための予算だ。

   
●区長車の廃止
むとう

昨年9月の決算総括質疑で、前区長が4期16年間で区長車を廃止したことで約1億4千万円削減したことを指摘し、年間経費約1千万円の区長車廃止を求めたが、合理的なので活用するとの答弁だった。財政難の中、議長車の予算化見送りに触発され、区長車の予算化をやめたのか。

区長

自ら判断し取りやめた。

むとう

区長車及び議長車の廃止を評価する。

●全額区負担の東北復興大祭典なかのの見直しを
むとう

東日本大震災から10年。震災と津波、原発事故の記憶を風化させてはならない。復興大祭典開催の目的は、被災地支援、防災意識向上、震災記憶風化防止だが、お祭り感が強く、10年間で約8千万円支出し、財政難の中、来年度予算額は約1千6百万円。任意の実行委員会主催であるのに、財政面は区が100%負担しているのは問題ではないか。

総務課長

自主財源を募っていく方向で、検討している。

むとう

楽しく賑わうお祭りではなく、静かに祈る新たな祭典も検討するべきだ。

   
●コロナワクチン予防接種健康被害救済制度の適正化を
むとう 国が健康被害を認定した場合、死亡は遺族に約4千万円、1級の障害は年額約505万円を支給。.コロナワクチン副反応は未知のため、因果関係の認定は高いハードル。救済制度の申請受付と給付実務は区が担う。因果関係が適正に認定されるよう責任ある申請受付の実施を求めるがいかがか。
接種担当課長 被害者に寄り添い丁寧な受付を行う。
   
●景観計画策定について
むとう 2013年に景観計画策定予定だったが、未策定。22年度以降の策定予定が示されたが、雑多な建物の林立が進む中、今更どのような景観を創造したいのか。
都市計画課長 安全・快適・資源を生かした町並みの創出。
   
   
 2021年度 一般会計予算 3/11

むとうは反対しました

 予算額約1472億円と過去2位の高額予算で、財政的危機意識が感じられない。
 地域開放型学校図書館は、4月に開設する3館を検証し次を検討するはずだったが、検証不能の段階で4館目の図書購入費の予算化や、存在していないテレワークシステムのランニングコストを予算化するなど執行できない予算を含み、指摘が無ければ説明しない不誠実な予算であり、むとうは反対しました
 
なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

  2021年度予算
一般会計 1,472億4,100万円
国民健康保険会計 320億4,500万円
後期高齢者医療会計 71億4,300万円
介護保険会計 232億7,800万円


「2021年度一般会計予算」反対討論 全文

 ただ今上程されました第6号議案「2021年度一般会計予算」について、反対の立場から討論いたします。
 予算総括質疑でも触れ、繰り返しになりますが、昨年9月に区長から各部長あてに出された「2021年度予算編成方針について」には次のように記載されています。

「コロナの影響により、日本経済は戦後最悪の落ち込みとなっている。来年度の一般財源は、今年度当初と比較して約
92億円の減収を見込んでおり、リーマンショック時以上の影響がある。これまで積み立ててきた財政調整基金は、取り崩しを前提とするのではなく、歳出の抑制に努めた上で、真に必要なサービスを実施するために、基金活用を図ることが必要である」

 さらに企画部長から、
20%削減した要求限度額が通知されています。この方針及び通知に基づき減額された予算が提案されると思っていました。

 しかし、実際には、一般財源は、想定よりは少ないとは言え、72億円の減収となり、リーマンショック後の2010年度予算の55億円の減収をはるかに超える厳しい状況です。
 にもかかわらず、予算は前年度より4億
1,800万円増の1,4724,100万円となり、2019年度に次ぐ2番目の高額予算です。20%削減どころか増額となっており、私には理解できません。

しかし、区長は、215日の施政方針説明の中で、「9%を削減し、過去10年にさかのぼっても前例の無い削減率となりました。」と評価するような言葉を述べられました。20%削減した要求限度額の通知は、一体なんだったのでしょうか。
 9%削減で前例の無い削減率と誇らしげにおっしゃられるのであれば、
20%削減目標は最初から意味のない数字だったと言えます。

また、「財政調整基金は、取り崩しを前提とするのではなく」としながらも、財政調整基金からの繰入金は、前年度の31億円から38億円増の69億円となっています。「主な基金の積立・繰入計画」は、2020年度計画からわずか1年で大きく下方修正され、基金枯渇への転落感が否めません。

 財政的危機意識があるのかないのか、よくわからない予算です。コロナ対策のように、命に係わる予算は削減するわけにはいきませんが、命に係わらない事業については、大なたが振るわれるのかと思っていましたが、そうではありませんでした。

 さらに、子ども文教分科会で明らかになった、地域開放型学校図書館の予算化は看過できない問題です。

 
2020313日の子ども文教委員会の中で、「地域開放型学校図書館の運営については、利用状況等事業効果を検証していく。」との考え方が示されました。その際の質疑の中で、今年4月に開設する中野区立中央図書館みなみの小学校分室、美鳩小学校分室、中野第一小学校分室の3館をしっかりと検証し、その検証の結果を踏まえて、今後の展開と改善を図っていくとの答弁でした。

 ところがまだ開設前で、検証など全くできない段階で、
20224月開設予定の令和小学校分室整備費2376千円での1000冊分の図書購入費が予算に計上されています。

 地域開放型学校図書館については、「今後の図書館サービスのあり方検討会」の中でも、検討委員の校長先生からの反対意見や、
一律に整備するのではなく、地域の実情も考慮することが必要ではないかとの意見も出されています。だからこそ、当たり前のことですが、教育員会は昨年の答弁を実行し、3館をしっかりと検証して、その結果をもとに予算化するべきです。

 検証の結果次第では、
4館目は開設されないかもしれません。検証前に図書を購入するということは、検証など関係なく4館目を設置するという意思が見え隠れしています。予算額の大小にかかわらず、このような行政運営をするべきではありません。

 また、総務分科会で明らかになった、構築されていない庁内情報テレワークシステムのランニングコストの予算化も看過できない問題です。

 このテレワークシステムの構築予算は
20205月に補正予算で可決しましたが、年度内に執行できないため、今年215日に、第10号補正で全額減額補正を行いました。にもかかわらず、2021年度予算にテレワーク用PCリース代1,174万円とデータセンター使用料1522千円が含まれています。

 つまり、テレワークシステムが存在していないのに、このシステムのランニングコストが予算に計上されているという、不可思議な予算です。この問題は、総務分科会にとどまらず、異例の取扱いで、
310日全体会の開催にいたり、議員全員での質疑となりました。

 単純に、今年度内でのテレワークシステム構築を断念した
126日に、すみやかに労力を惜しまずに2021年度予算からランニングコストを削減した予算額に変更すれば良かっただけの話です。

 明らかに執行できない予算が含まれているのは前代未聞です。さらに、全体会の質疑の中で、議会に報告の無かった新事実が数々明らかとなり、議会に対する説明責任を果たさない行政の姿勢も浮き彫りとなりました。

 また、説明資料の中で、年度内にテレワークシステムの構築ができなかった理由として、行政側の報告や説明不足を棚に上げて、「議会からのご理解が得られなかった」からだとする記述がありましたが、翌
11日にその部分を削除した新たな説明資料が提出されました。指摘され、文言を削除して済むことだとは思えません。

 さらに、「これまでも執行されない予算があった」と居直る姿勢も、納得できません。
 そもそも、予算説明書補助資料
P115情報基盤費には、テレワークシステムとの単語は無く、「機器賃借料、保守委託、回線使用料等」の中に、テレワークシステムに関するランニングコストが含まれていると読み取ることは不可能です。質問されなければ、説明せず答えずで、予算を通してしまおうとする行政の悪意さえ感じられます。

 以上、雑駁ではありますが、今後の誠実かつ公明正大な行政運営への一歩となりますことを願い、第6号議案「2021年度一般会計予算」に対する反対討論といたします。

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