区議会報告 No.94

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 むとう有子の予算総括質疑より
(2022年度予算について) 3/1



●骨格予算にするべき
むとう

区長就任後の2018年度決算総括質疑で区長は「本格予算でやりづらい部分はあった」と答弁。区長の再出馬決意表明は尊重するが、選挙に絶対はない。
だからこそ、区長選を控えた予算は、政策的な経費を極力抑え、義務的経費や継続的事業を中心に、最低限必要な経費を盛り込んだ骨格予算を編成するべきで、そのような自治体が増加傾向だが、見解は。

区長

事業の継続性が重要と考え、本格予算とした。

むとう 近江八幡市の市長は、4月に2期目の選挙を控え骨格予算としている。区長たるものこのような謙虚さを持つべきではないかと考える。
   
●職員定数の検証を
むとう

前区長が定めた職員2千人体制は、既に退職不補充で実現。人件費削減ありきの定数で、業務内容と量に見合わず根拠が薄い。
定期監査結果報告書で、チラシの各戸配布委託費を未配布なのに支払ったり、閉鎖間近の自動車駐車場の券売機の保守点検を行ったり、校章デザインを間違って修正費が発生したり、最低賃金を下回る謝礼を支払ったり等々お粗末なミスが頻発。これらは職員数不足が原因では。
明確な根拠のある職員定数条例の改正を。

職員課長

原因分析と再発防止策を講じる。職員数が原因ではない。新たな行政需要に対応した職員数を見極める。

●平和事業に区民参画を
むとう

憲法擁護非核都市宣言40周年。平和の理念を周知する事業費は172万円と少額。企画段階から区民参加の実行委員会を設置しては。

ユニバーサルデザイン
推進課長

企画からの参加は研究したい。

むとう

平和マップに15史跡等の案内があるが、民有地の7史跡には説明書きがなく不親切。説明書きの設置を。

ユニバーサルデザイン
推進課長
改善策を検討する。
   
●東北復興大祭典は全額区負担から自主財源に
むとう 任意の実行委員会に、10年間で約1億円、全額区負担は問題。予算は1716万円に増額。自主財源の検討は。
総務課長 12万円の寄付を受けたが、さらに努力する。
   
●マイボトル用給水機設置を
むとう 2020年、職員にマイボトルの活用や、使い捨て製品使用削減に努めるよう「プラスチック削減指針」を策定。区役所内のペットボトル飲料自販機撤去とマイボトル用給水機設置の提案に「検討する」と答弁。検討結果は。
環境課長 紙パック飲料を指定し入札したが不調。給水機設置は給排水管工事費が必要となるため現区役所で設置はしないが、新庁舎で検討する。
   
その他
●全公園の公衆トイレにペーパー設置完了予定の確認
 
 
 2022年度 一般会計予算 3/9

むとうは反対しました

 予算額約1579億円と過去最高額。区民税や交付金の増収を見込む楽観予算。中野駅周辺まちづくりにおける住宅街での市街地再開発事業の強引な手法。区役所・サンプラザ再整備計画は一旦白紙に戻し、土地を手放す権利変換方式から、土地所有の定期借地権方式に変更し、区民が望まない採算性が悪い7千人ホールを見直し、区民が望む公共性の高い施設に考え直すべきと考え、むとうは反対しました
 なお、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険特別会計についても反対しました。

  2022年度予算
一般会計 1,579億3,500万円
国民健康保険会計 325億5,300万円
後期高齢者医療会計 75億8,500万円
介護保険会計 240億3,400万円


「2022年度一般会計予算」反対討論 全文

 ただ今上程されました第7号議案「2022年度中野区一般会計予算」について、反対の立場から討論をいたします。

 私が反対する一番の理由は、本格予算であることです。予算総括質疑でも触れたので、繰り返しになりますが、区長選を控えた次年度予算は、政策的な経費を極力抑え、義務的経費や継続的事業を中心に、最低限必要な経費を盛り込んで編成する骨格予算にとどめるべきです。

 そして選挙後の補正予算で、区長になられた方の政策を反映させた事業などを「肉付け」するべきと考えます。例え再選が確実視されていても、選挙に絶対はありませんので、首長選挙前には経常的に骨格予算にする自治体が増加傾向にあります。
 2022年度予算で骨格予算を提案しているのが滋賀県近江八幡市、2021年度予算では、秋田県、千葉県、小平市、浦安市、柳川市、唐津市、松江市、能美市等々多数あります。

 2019年9月に、酒井区長の1年目である2018年度決算総括質疑で、本格予算での支障や、やりにくさについて区長にお伺いしたところ、「率直に申し上げますと、やりづらい部分はございました。」と答弁されていることからも、骨格予算にするべきでした。

 ちなみに、2022年度予算を骨格予算にしている近江八幡市は、4月に市長選挙を控え、酒井区長と同じ1期目の市長さんで、2期目も出馬予定とのことです。また、首長選挙前には経常的に骨格予算にしている他の自治体に電話で問い合わせたところ、やはり選挙に絶対はないので、首長選挙前は骨格予算とすることはごく当然の考え方として定着しているようでした。

 中野区においても、今後の新しい地方自治のあり方を示す一つとして、区長選挙前には経常的に骨格予算とするとの考え方を持つ、謙虚な区長であってほしいと願います。

 私が反対する2番目の理由は、中野駅周辺まちづくりのあり方です。特に中野4丁目西地区や、囲町東地区、囲町西地区における市街地再開発事業の進め方に疑問を感じています。いずれも閑静な住宅街です。

 4丁目西地区では準備組合総会決議無効確認の訴訟が起きています。囲町東地区でも、東京都の収容委員会に権利変換に関する審査請求や、権利変換処分に関する不服申請がなされています。
 囲町東地区にお住まいの方からは「行政によって何故人生を狂わされなければいけなかったのか未だに納得がいかない。囲町東地区再開発が公正公平に行われなかったと感じた。」などの悲痛な声が届いています。
 囲町西地区でも、1月に「地権者の十分な理解が得られているとは言えない状況であることから、拙速に都市計画の決定をしない事を求める要望書」が、区長に提出されています。

 あるデベロッパーのパンフレットには、「市街地再開発事業の主役は権利者の皆様です。その取り組みを、地方公共団体とデベロッパー等が支える仕組みです。」と記載されています。しかし、現実は、主役である地権者をないがしろにし、地権者の財産や生活がどうなっていくのか、地権者が市街地再開発事業の手法や手続きを十分に理解できないうちに、法的に網をかけて再開発を強引に進めているとしか思えないデベロッパーの姿勢が気になります。

 さらに、中野区は、この都市計画事業が適正に実施されるように指導・監督する立場ですが、住民の財産を守るという基本的な意識が薄れ、予定通りに再開発を進めるという使命感ばかりが強く、住民には、デベロッパーの後押しに徹しているように見えています。

 新築高層マンションに住みたいと思う地権者には嬉しい再開発ですが、この地でこの家で住み続けたいと思う地権者にとっては大変迷惑な再開発となります。

 国や行政機関が公共の福祉を盾にして、国民の基本的人権を制限することは許されません。憲法第13条による個人の尊重、憲法22条による居住の自由、憲法29条による公共の福祉とのせめぎ合いが課題となります。
 憲法29条第1項で、財産権は不可侵の権利であると「定義」し、第2項で、財産権が公共の福祉によって制限されることがあると「注意喚起」し、第3項で、国などが財産権を公共のために用いたら、財産権の持ち主は、国などから正当な補償が受けられると「約束」しています。

 財産権の持ち主が、人生設計の変更をせざるを得ない一大事を受け入れるためには、正当な補償が重要です。金銭的な補償は当然ですが、精神的な苦痛が無いよう丁寧に丁寧を重ねた対応も重要不可欠です。公共の福祉を、個人の尊重を踏みにじる形でふりかざすようなやり方はあってはならないと考えます。

 さらに、中野区が地権者である中野区役所とサンプラザの中野4丁目新北口地区の市街地再開発事業をこのまま進めることも大問題だと考えます。中野区が地権者ということは、区民が地権者だという認識をしっかり持つべきです。

 4年前の区長選挙を思い返してください。区役所・サンプラザの再開発が大きな争点となりましたが、1万人のアリーナが7千人のホールに変わっただけで、多くの区民が酒井区長に失望しました。7千人のホールを望む区民の声を私は聴いたことがありません。

 2020年2月の第1回定例会一般質問で、議員有志が民間団体に依頼した不動産鑑定調査報告書を基に、「権利変換方式」から、土地を手放さない「定期借地権方式」への見直しを求めましたが、区は再検討をしないまま、事業者募集をし、昨年1月に事業者を決定しました。
 その上12月には、事業者からの提案で容積率を900%から1000%に変更し、区役所・サンプラザの跡地には都庁より高い250メートルの超高層ビルが建つことになりました。本当にこれで良いのでしょうか。

 今定例会で渡辺議員が提案された「中野駅北口で進めている再整備計画を、一旦白紙に戻し、ホールの大きさを2千から3千人規模に縮小し、土地を手放すことなく、定期借地権方式で募集要項を修正して、新たな事業者を募集すべきである。」とのご意見に大賛成です。
 今なら、まだ、間に合います。区民の財産である中野駅前の一等地を手離さずに、区民が望む公共性の高い施設となるよう考え直すべきです。

 今から14年前の2008年10月、「2008年度一般会計補正予算」「サンプラザ地区に係るまちづくり整備方針について」「株式会社まちづくり中野21の株主総会における議決権の行使について」という関連する3議案が、賛成多数で採択されました。もちろん、私は反対しました。

 これらの議案は、中野サンプラザの運営会社が所有する中野サンプラザの所有会社の普通株式2000株、及びC種優先株式1株、発行時7億7千2百万円を9億7千万円で中野区が買い取り、さらに、運営会社が中野サンプラザを運営するために必要な資産を移した新運営会社である子会社を設立し、その新運営会社を所有会社が取得するために必要な資金であるとする4億5百万円を中野区が所有会社へ追加出資するというものでした。合計で13億7千5百万円の補正予算でした。

 その際、買い取り価格の根拠が示されず、なぜ発行価格より2億円も高いのかが問題となりました。
 また、所有会社である「株式会社まちづくり中野21」に4億5百万円を区が追加出資する大義名分として「株式会社まちづくり中野21」に「区役所・サンプラザエリア周辺一体のまちづくりの中心として主体的に取組ませる。」「株式会社まちづくり中野21」に「将来にわたって同社の所有地を保有させ、中野駅周辺のまちづくりをけん引させる。」とした「サンプラザ地区に係るまちづくり整備方針」が可決されました。

 先日の建設分科会で、この可決した整備方針についての質疑がなされたようですが、現在区が進めているあり方とは異なり、整合性が損なわれています。
 中野サンプラザについては取得当初の考え方が何度もくつがえり、失策の繰り返しで無駄に税金を投入してきました。酒井区長となり、この間、行政の手続きに様々な事案で齟齬が生じていました。中野区にとって一大プロジェクトである区役所・サンプラザ地区の再開発において行政の手続きが前後することはあってはならないことだと考えます。今一度、冷静に考え直し、中野サンプラザを巡る失態はもう終わりにするべきです。

 なお、公衆トイレへのトイレットペーパーの設置に約11年を要しましたが、公園維持管理事業でトイレットペーパーホルダー設置工事等1,705万7千円が予算化され、これで全てのトイレにペーパーが設置されることについては、大賛成ですが、一台の設置費用がホルダー代37,000円より高い82,000円というのが気になります。見積もりの精査を求めます。

 以上、雑駁ではありますが、謙虚さのある誠実な行政運営への一歩となりますことを願い、第7号議案「2022年度一般会計予算」に対する反対討論といたします。

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